今週は、日本の歌手、美川憲一がデビュー初期の青春歌謡路線から、演歌・ムード歌謡路線に方向転換するきっかけとなる歌、「柳ヶ瀬ブルース」のカバー曲をお送りいたします。このカバー曲は、原曲と比べると歌詞は結構違っているものの、まるで原曲と呼応しているように捉えられますので、とても面白いですよ。
まずは原曲を見てみましょう。「柳ヶ瀬ブルース」は、二度と会えない人を思うと心が痛むものの、その人のことをなかなか忘れられないという歌です。
柳ヶ瀬ブルースのカバー曲は、台湾最大の方言、台湾語のうた「淡水河邊(淡水河の岸辺で)」です。淡水河は、台湾北部を流れる河の名前です。台湾語のベテラン歌手、葉啟田による歌です。
この歌は、やむを得ない事情で恋人を手放してしまった、男のやり場のない悲しみと辛さを描いている歌です。恋人の両親に「釣り合わない」と思われてひどく反対されてしまい、そこで限界を感じた男は、恋人と別れることにしました。
「ああ、僕は貴方に釣り合わない自分を恨んでいる。どうか貴方は、良いパートナーと出会えるよう祈っている」と、男はこころの中で思っていました。原曲とまったく違う視点の歌と思いませんか?
(編集:曾輿婷/王淑卿)