「一ミリのしあわせ」(作詞・作曲:馬場克樹)
朝のまばゆい陽射しに誘われて
この部屋中の窓を開け放てば
昨日までとらわれていたあの悲しみも
夏の風がそっとさらってゆくよ
この空の向こうにいる大切な君から
今日も君らしく一日が過ごせたと
夜更けのメールがふっと届いたなら
キャンドルにほのかな灯をともそう
何気ない一日の始まりや
何気ない一日の終わりが
ぼくに運んでくれるよ
一ミリのしあわせ
地下鉄のスタンドでいつもの豆漿(ドウジアン)
ぼくが頼めばあの人は微笑み返し
Have a good day! ただそのひと言が聞きたくて
足早に階段を駆け上がるよ
ありふれた街角の風景や
ありふれた毎日の暮らしが
ぼくに運んでくれるよ
一ミリのしあわせ
何気ない一日の始まりや
何気ない一日の終わりが
ぼくに運んでくれるよ
一ミリのしあわせ 一ミリのしあわせ
©︎Masaki Baba
<第1セクション:「一ミリのしあわせ」>
- この歌を作ったのは、もう14年以上も前になる。その頃、私は毎朝最寄り駅の「中山國中」駅から台北のMRT(地下鉄)に乗り、職場(日本台湾交流協会)に通っていた。そして、朝の通勤時間にだけ現れる、いつも決まった駅前の屋台で、無糖の豆乳とベジタリアン・サンドイッチを買い求め、職場で朝食を摂るのが日課だった。
- その屋台のおかみさんは、毎日私がお代を支払う際に、決まってこう声を掛けてくれたのだった。
- 「感恩!祝福你有美好的一天!(ありがとうございます!今日も素敵な一日となりますように!)」
- 八得力「一ミリのしあわせ』OA。
<第2セクション:不幸は「状況」、幸福は「能力」>
- 「不幸は『状況』なので時間の経過とともに自ずと過ぎ去っていくものだが、幸せはそれを感じられるかどうかといいう『能力』なので、自分でそれを磨けばいくらでも発見できるものだ。」友人の言葉は自分の心の奥深いところで共鳴し続けている。
- 絶望的と思える状況に陥ったことも何度かあった。しかし、数年の時を経て振り返れば、たいていはちょっとほろ苦い思い出話か、時には笑い話にさえなっている。さらに言えば、その時の最悪な事態があったからこそ、そこから這い上がって今ここで笑っていられる自分がいることにも気付く。人生に無駄な経験などひとつもないということをつくづく実感できるのだ。
- また、自分の日常を見渡せば、一ミリのしあわせは至る所に落ちている。近しく大切な人が今日もそばにいてくれたり、初めて入った店で美味しい料理と出会ったり、ふと見上げた空がとても青かったり。そんなことに感動し、共鳴できる自分を発見することできれば、すべての事象は一ミリのしあわせとなって自分の眼の前に現れてくれるだろう。
- 蔡依林 Jolin Tsai の歌で- 幸福路上 On Happiness Road (《幸福路上(邦題:幸福路のチー)》同名映画主題曲)をOA。
<第3セクション:日本でも公開された映画『幸福路のチー』>
- 《幸福路上(邦題:幸福路のチー)》の宋欣穎監督とは、2008年の台北映画祭で知り合った。彼女の半生をモデルとしたこの作品が、アニメの手法で映画化され、この年の金馬奨国際映画祭の「最優秀長編アニメ映画賞」や東京アニメアワード「長編グランプリ」も受賞した。
- この「幸福路」は新北市新荘区に実在する地名で、宋監督が幼少期を過ごした場所である。 宋監督は2004年に京都大学で映画理論を学び、小津安二郎監督の『彼岸花』に大きな影響を受けたという。その後、米国に渡り、コロンビア・カレッジ・シカゴで映画修士号を取得。この映画の製作には4年の月日を要した。
- 今月の歌『ジャカランダの降る街』OA。