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ナルワンアワー(月曜日) - 2022-10-24_北九州市アーティスト・イン・レジデンスで2人の台湾のマンガ家が日本へ派遣

  • 24 October, 2022

日本の福岡県・北九州市というと皆さんはどんなイメージがありますか?

福岡市は「音楽の街」として有名ですが、北九州と聞くと“かつての”「鉄の街」…というイメージを持っている人が多いかもしれません。ですが、今は北九州は「漫画の聖地」と呼ばれているんです。

実は、北九州は多くの漫画家を輩出している街なんです。

例えば、「銀河鉄道999」の松本零士さんは、小学校3年から高校卒業まで北九州で過ごしたそうですし、「シティーハンター」の北条司さんや、テレビドラマ化もされた料理マンガ「バンビ~ノ!」の作者、せきやてつじさんも北九州出身。また、イラストレーターとしても活躍するわたせせいぞうさんや、イラストレーターだけでなく俳優などマルチタレントとして活躍しているリリー・フランキーさんも北九州出身…と、北九州に縁のある漫画家・イラストレーターは50人以上いるそうです。

私は漫画やアニメは詳しくないのですが、それでも、松本零士さんや、北条司さんなど、私でも知っているような有名な漫画家さんが北九州には数多くいます。

なんでも松本零士さんによると、北九州は、古くから本州や韓国、中国からの玄関口で多様な人々が流れ込む「文化のるつぼ」だったそうで、しかも戦前は製鉄所に集まった人々、戦後は進駐軍兵士らの娯楽として映画館や書店、古本屋、貸本屋が立ち並び、文化が育まれて行きました。

そんな地域性を活かして、漫画で地域おこしに力を入れている北九州市が、今年、初めて、台湾の文化部と手を組み、「2022 日本北九州市駐村交流計畫(北九州市アーティスト・イン・レジデンス・プログラム)」をたて、先ごろ、2022年度、北九州市に派遣する台湾の漫画家2人が選ばれました。

選ばれた台湾の漫画家は、柚子さんと、PETER MANNさん。

柚子さんは、日本で初めて、そして唯一、マンガ学部を設置している、京都精華大学大学院マンガ研究科を卒業。創作は、水彩画と水墨画をメインとしていて、「虎爺起駕:紅衣小女孩前傳(赤い服を着た女の子 前編)」という作品が、台湾のマンガ界における最高栄誉とされる「金漫獎(ゴールデン・コミック・アワード)」の第10回で新人賞にノミネートされた他、「閻王帖上冊(閻魔帳 上巻)」が第12回の年度漫画賞にノミネートされました。今回獲得したアーティスト・イン・レジデンスを利用して、滞在期間に体験した経験をもとに、10~20ページの短編漫画を制作します。

そしてもう一人のPETER MANNさんは、映像制作会社でデザインやアニメーション、イラストを手掛けてきた経験があり、近年、漫画を描き始めたそうです。これまでに独立系出版から「GANNA怪拐」や「我討厭妳(あなたが嫌い)」を出版しており、今年、商業漫画「芭樂歌 BLA BLA SONG」を出版、台湾と日本のアーティストとコラボレーションし、漫画を元に書き下ろした曲が日本と台湾の両方で配信リリースされています。

PETER MANN(ピーター)さんは今回のアーティスト・イン・レジデンスを利用して、24ページのモノクロマンガを書く計画で、地元の観光名所や美食を取り入れ、漫画で地元の風景を描きます。

2人は、11月7日から日本へ渡り、1か月間滞在します。その間に、「北九州ポップカルチャーフェスティバル」にも参加するほか、ライブペイントのプロモーションイベント、北九州マンガミュージアムなど、芸術・文化施設の参観も予定、また、北九州市に関連する5作品を完成させ、北九州市へ寄贈します。

文化部は、今後もアーティスト・イン・レジデンスを通じて、台湾と日本の漫画産業の交流と協力を強化して、より多くの優れた台湾のマンガ家や作品に触れてもらいたいとしています。

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