日本はシルバーウィークに台風が直撃し、各地に被害が出ているようですが、皆さんのお住いのエリアは大丈夫でしたでしょうか。
被害に遭われた方へ心からお見舞い申し上げます。
一方、台湾では先週末(9/17)の夜から地震が頻発し、こちらも落ち着かない週末となりました。
9/18(日)の14時44分に発生した地震は、マグニチュード6.8と今年最大の地震で、台湾東部・花蓮の玉里では建物が倒壊したり、橋が断裂したりという被害が出ました。
中央気象局の発表では、現在既に余震が集中する時期は過ぎたと話していますが、やはりまだ数日は大きな余震が来る可能性があるとして注意を呼び掛けています。
なお今回の地震は、「今年最大の地震」というだけでなく、1973年以降、台東県の内陸で発生した地震としては最大で、また1999年に発生した「921大地震」以降、5番目に大きい規模とのことです。
そしてさらにはその「921大地震」と似ているところが多いそうです。
この1999年に発生した「921大地震」とは、台湾中部・南投県の集集鎮を震源とするマグニチュード7.3の地震で、震源から離れた台北でもビルが倒壊するなど、台湾全土が揺れ、多くの建物が倒壊し、2,415人が亡くなるなど、大きな被害をもたらした、台湾で20世紀一番大きな地震とされています。
その「921大地震」が発生した翌年(2000年)、震災で亡くなった方々を追悼し、毎年9月21日を「921國家防災日(921国家防災の日)」と制定。国民全体の防災意識と対応能力を高めることを目的として、国家レベルで地震による犠牲者を減らすための防災訓練を行ったり、地震による災害を防ぐための対策の啓発強化に取り組んでいます。
台湾でも最近では、非常用の「防災バッグ」を準備しておくよう呼びかけたり、地震が起きたら慌てずに、頭や首を怪我しないように守り、①伏せる、②守る、③掴まる、の3つの行動をとるよう呼びかけていて、学校などでも習うそうです。
今年(2022年)の「921國家防災日(921国家防災の日)」訓練では、地震とそれに伴う津波が発生した際の警告演習を行う予定で、訓練当日(9/21)の午前9時21分と9時25分に「災害警報メッセージサービス(PWS)」による“訓練警報”が発令されるとのことで、事前に、これは訓練であるので慌てないよう呼びかけています。
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災害時、安否確認をするため多くの人が電話を使うことから、回線がパンクしてつながらないということが発生しますが、日本では、1995年の阪神・淡路大震災の際に、電話が集中してつながらない状態が5日間も続いたことから、それをきっかけに「災害用伝言ダイヤル(171)」が開発され、1998年から稼働していますよね。実は台湾にも同じようなシステムがあります。
「1991報平安語音留言專線(1991セーフティ伝言ライン)」と言って、重大災害が発生した際に、固定電話、携帯電話、公衆電話から直接「1991」番をダイヤルし、メッセージを残したり、確認したりすることができます。
これは、日本の「災害伝言ダイヤル(171)」を参考に作られたもので、使い方も日本の「災害伝言ダイヤル(171)」同様で、まずは家族や友人と、設定する番号をお互いに知らせておきます。例えば、家の固定電話の番号にするとか、各自の携帯電話の番号で登録する…などを決めておきます。
そして、災害などが発生し、伝言を残したいときに、「1991」をダイヤルし、あらかじめ家族や友人と確認し合っている番号を入力した後、メッセージを残します。
そうすれば、家族や友人がその人の安否メッセージが入っているかどうかを確認したいときに、「1991」をダイヤルして、あらかじめ知らされていた電話番号を入力すると、メッセージが入っていればそれを聴くことができるんです。
なお、この「1991」の利用に関して、台湾の通信会社最大手、中華電信は、固定電話、携帯電話、プリペイドカード、公衆電話の通話料は無料。その他の通信会社、台湾大哥大(Taiwan Mobile)、遠傳(Far EasTone)、亞太電信(Asia Pacific Telecom)、台灣之星(Taiwan Star Telecom)では、通常の時間帯(月曜から金曜の朝8時から夜23時まで)では1分あたり0.5219台湾元(日本円およそ2.39円)、割引時間帯(月曜から金曜の夜23時から翌朝8時までと、土曜日の0時から翌月曜日の午前8時まで、そして国定の休日)では、1分あたり0.2718元(およそ1.24円)となっています。
ひとつの番号で最大10件まで伝言を残すことができ、それ以降は、11件目は1件目を上書き、12件目は2件目を上書き…というように上書きしていきます。
なお、現在は、中国語、台湾最大の方言である台湾語、台湾第二のエスニックグループ客家の人たちが話す客家語、そして英語の4つの言語で操作案内をしています。利用可能範囲は離島を含む台湾全域で、海外からの利用はできません。
また、音声のみではなく、伝言板も連動していて、メッセージを文字で残すこともできますし、文字を音声で再生することもできます。これも日本の「災害伝言ダイヤル(171)」と同じで、伝言板に文字でメッセージを残す場合には、「http://www.1991.tw」のサイトから残すことができます。
台湾も日本と同様に、地震や台風など自然災害の多い土地ですので、日本の防災対策も参考に、自然災害に対する様々な取り組みや啓発活動を行っています。
なお、この「1991」は家族や友人と安否を報告し合うための無人のホットラインのため、例えば救助が必要などの場合は直接「119」か「110」するよう呼びかけています。
台湾版“災害伝言ダイヤル”、「1991報平安語音留言專線(1991セーフティ伝言ライン)」。使う機会がないことが一番いいのですが、いざというときのためにこういうシステムがあるというのが重要ですよね。