今年(2022年)1月、台湾南部・台南市に、新たなスポット「隆田ChaCha文化資產教育園區(隆田ChaCha文化資産教育パーク)」がオープンして、今、注目を集めています。
八田與一・技師が建設した烏山頭ダム近くに位置するこの「隆田ChaCha文化資產教育園區」は、台湾最大の灌漑施設「嘉南大圳」をテーマにした教育パークです。
パーク内は「台湾最大の嘉南大圳をテーマとしたイマジネーションシアター」、「パブリックアート」、そして「考古センター」の3つのテーマに分かれていて、「四鐵共構(四鉄)」と呼ばれる、在来線の臺鐵(台湾鉄道)、かつて塩を運んでいた鉄道「鹽鐵」、砂糖を運んでいた鉄道「糖鐵」、そして烏山頭ダム建設の際に、八田・技師が機械の運搬に使用した「水鐵」の4つの鉄道の遺構が保存されているほか、線路や、計量室痕、歴史ある倉庫群が残されています。
また、日本統治時代、「嘉南大圳工事画」を書いた画家で、八田・技師の親戚にあたる伊東哲氏の絵を用いた体験型シアターもあって、そこでは水の音が流れる中、壁面や床の映像に触れると絵が動き出すなど、親子で楽しみながら昔の台南を体感できるスペースとなっています。
今年の1月にオープンしてから、家族連れなど多くの人でにぎわっているのですが、中でも、屋外パブリックアートの一つ「彈跳小丘(トランポリンの丘)」が人気を集めています。
トランポリンと言うと平らなイメージですが、この「彈跳小丘」は、その名の通り、丘のような形をしているトランポリンです。
日本では、近年、全国各地に“ふわふわドーム”と言った山型のトランポリンが登場していますが、台湾では初登場!
これはどう飛んだらいいのかな?と思ってしまいましたが、子供たちは上手に遊んでいます。
この「隆田ChaCha文化資產教育園區」のパーク内に設置されている「彈跳小丘」は、東京と台北をベースにしている建築デザイン事務所 NOIZによって設計された作品。
このNOIZは、日本人建築家の豊田啓介氏と、台湾人建築家の蔡佳萱氏が設立した、2007年より活動を始めた建築・デザインの活動体で、日本と台湾を中心に国を超えて活動をしています。
そんなNOIZが手掛けたこの「彈跳小丘」は、ただの山型のトランポリンと言うわけでなく、嘉南平原の年間の使用水量をスケールダウンして、「彈跳小丘」の容量に変換しているんだそうです。
日本から空輸されてきたというこの「彈跳小丘」─。
台湾も今年の春から新型コロナの感染拡大によって自由が制限される場面があったことから、少し感染状況が落ち着きつつある今、多くの家族連れがここを訪れ、「彈跳小丘」で子供たちは“発散”をしているようです。
また、この「彈跳小丘」で飛んでいると、違った高さから「隆田ChaCha文化資產教育園區」敷地内のパブリックアートを見ることができたりもするので、”発散”しつつ、芸術的想像力も刺激する台湾唯一のスポットとなっています。
現在のところ、子供たちの遊びの安全確保と施設維持のため、身長90センチから140センチの子供にのみ使用を限っていますが、多くの子供たちが楽しみ、大人たちはそのすぐそばの芝生でのんびりとその様子を眺めながらピクニックをしています。
日本人にも縁のある烏山頭ダムのすぐ近くにできた、「隆田ChaCha文化資產教育園區」、歴史的な部分においても、この「彈跳小丘」も、日本と台湾のかかわりを感じることのできるスポットとなっているので、烏山頭ダムだけでなく、この新たなスポットにもぜひ行ってみてくださいね。