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文化の台湾 - 2022-06-24_第24回 台北電影節

  • 24 June, 2022
文化の台湾
台北最大の映画祭「台北電影節(台北フィルムフェスティバル)」、今年(2022年)は7月9日まで行われ、最終日の9日に「台北電影獎(台北フィルムアワード)」の受賞式典が行われる。(写真:RTI)

今、台北最大の映画祭「台北電影節(台北フィルムフェスティバル)」が行われています。この「台北電影節」は毎年夏に行われている映画祭で、今年で24回目の開催です。

2020年は、新型コロナの影響によって世界中で大小さまざまなイベントが中止となる中、台湾は水際で防ぐ事ができていたことから、「台北電影節」は無事に開催され、世界保健機関(WHO)が新型コロナの“世界的流行”を宣言以後、世界で最初に開催された大型イベントとなりました。

昨年(2021年)は、夏前に台湾内で新型コロナの感染が広がった影響によって、9月に開催が延期となりましたが、今年(2022年)は恒例の夏に帰ってきました。

「台北電影節」では、新人監督の1作目と2作目の長編映画とノンフィクション映画を対象とした国際コンペティション「國際新導演競賽(インターナショナル・ニュー・タレント・コンペティション)」と、「台北電影獎(台北フィルムアワード)」の2つのコンペティションが行われています。映画ファンや一般の人々に、映画の美学について多角的な視点を提供するのと同時に、台湾映画界の実際のニーズに応え、映画界のレベルアップをはかり、映画人を称えることも目的としていて、台湾の重要な映画祭の一つとなっています。

台湾の映画賞と言えば、“台湾版アカデミー賞”と呼ばれる「金馬奨(ゴールデンホースアワード)」が有名ですが、「金馬奨」は中華圏の作品が競うのに対して、この「台北電影節」のコンペティションの一つ「台北電影獎」は台湾の映画に特化した映画賞です。

今年の「台北電影獎」には、268作品のエントリーがあり、その中から最終的に、長編映画11作品、ドキュメンタリー映画6作品、短編映画8作品、アニメ5作品の合計30の作品がノミネートされています。

今回、特に注目を集めている映画は、長編作品、主演女優賞、新人賞、監督賞など最多の12部門にノミネートされている「美國女孩(American Girl)」。

SARSが猛威を奮っていた2003年、病気が発覚した母親の本格的な治療を開始するため、移住先のアメリカから父の待つ台湾へ戻ってきた母と娘。しかし、母は体調も精神状態も不安定になり、娘は中国語の壁から成績が下がり、周りからは「アメリカンガール」とあだ名をつけられ学校生活がうまくいかずアメリカに帰りたいと母親と衝突するようになります。数年ぶりに再会した父親ともうまくいかず、家族関係がぎくしゃくしてしまう─。

阮鳳儀(フィオナ・ローン)監督自身の成長体験をもとに、母と娘の物語を軸に大人になることの苦しみを描いた作品です。

この映画は、2020年にアメリカインディペンデント映画賞の「Fast Track program」に選出、2021年には第34回東京国際映画祭でプレミア上映され、「アジアの未来」部門に選出。2021年の「第58回 金馬奨」では、7部門にノミネートされ、新人監督賞、新人俳優賞、撮影賞の3項目で最優秀賞を獲得するなど、国内外で高い評価を得ています。

また、今年の「台北電影節」のもう一つのコンペティション、「國際新導演競賽」の台湾代表の一つでもあります。

そして、このほかに注目を集めている映画は、「月老(Till We Meet Again/邦題:月老~また会う日まで)」。

この映画は、「那些年,我們一起追的女孩(邦題:あの頃、君を追いかけた)」の九把刀(ギデンズ・コー)監督が描く台湾のファンタジーロマンスムービー。昨年(2021年)のこの「台北電影節」のオープニングを飾った映画です。長編作品、主演男優賞、助演男優賞、監督賞など、11部門にノミネートされています。

また、実際に起きた社会事件を基に描かれたサスペンス・スリラー「該死的阿修羅(Goddamned ASURA)」も、長編映画、監督賞、助演男優賞、助演女優賞など9部門にノミネートされ、注目を集めています。

現在、台北の対象となる会場で、ノミネート作品の上映が行われていますが、既にどのチケットも完売しています。

今年はどの映画がどんな賞を獲得するのか、楽しみです。

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今回の「台北電影節」の特別上映作品に「滴水的推理書屋(The Leaking Bookstore)」という作品が選ばれ、明日(6/25)に世界初上映されますが、この作品は台湾の有名な監督・王小棣氏が立ち上げた、テーマの異なる複数のエピソードで構成される「植劇場(Qseries)」のセカンドシーズン「茁劇場(Qseries 2)」の最初の作品。

この「Qseries」は若手の人材育成とドラマ制作を兼ねていて、過去にもこのシリーズから数々の受賞作品や受賞者が生まれています。そのシリーズからの作品とあって、既に期待が高まっています。

「茁劇場(Qseries 2)」の最初の作品「滴水的推理書屋(The Leaking Bookstore)」は、有名な作家、臥斧の小説「FIX」を映画化したもの。サスペンス・スリラーと、頭を使う推理が組み合わさった作品となっています。

この「滴水的推理書屋(The Leaking Bookstore)」は、8月6日にテレビで放送されますが、一足先に「台北電影節」で紹介されることに、出演者もとても喜んでいます。

目の肥えた映画好きからどのような感想が出てくるのかも楽しみなところです。

台北最大の映画祭、「台北電影節」。今年(2022年)は7月9日まで行われ、最終日の9日に「台北電影獎」の受賞式典が行われます。

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