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文化の台湾 - 2022-01-21_年貨大街

  • 21 January, 2022
文化の台湾
旧正月前の風物詩である“お正月マーケット”「年貨大街」。今年(2022年)も新型コロナの影響で「迪化街エリア」では、毎年道路にもいっぱい並んでいた屋台を禁止し、飲食の屋台や試食の提供を行わないスタイルで開催している。(写真:CNA)

もうすぐ春節(旧正月)を迎える台湾では、今、新年を迎える準備が始まっています。今年(2022年)は2月1日が旧暦のお正月です。

毎年、旧暦のお正月の2~3週間くらい前から、各地で「年貨大街」が行われます。

この「年貨大街」とはどのようなものかというと、お正月料理の食材や縁起物のお菓子、そしてお正月飾りなどが売られている“お正月マーケット”です。

春節(旧正月)は、中華圏で1年のうち最も重要とされる行事で、台湾では春節には、離れて暮らす人たちも実家に帰り、家族や親戚が集まってわいわいと賑やかに過ごします。

久しぶりに帰って来る家族がいたりもしますので、やはりお正月の料理は豪華!高価なアワビやフカヒレなどの良い食材を使って、豪華で縁起の良い食事を準備し、この1年お疲れ様でしたと苦労をねぎらい、新たな1年の到来を祝います。

その豪華な食事の材料であるアワビやフカヒレなどの高級食材や、乾物、春節に挨拶に来たお客さんに振る舞うお菓子、そしてお正月飾りなどを売るお店がずらりと並ぶ、旧正月前の期間限定のマーケットが「年貨大街」です。

中華圏では、赤や金は縁起の良い色とされているので、お正月飾りも赤いものや金色のものが多いので、この“お正月マーケット”が登場すると町中が、真っ赤っか&キンキラ金になります。

そしてお菓子や乾物を売っているお店では、いろんな種類の商品が山のように並んでいて、好きな分量買う“量り売り”をしているお店が多く登場します。

お菓子は、赤や金などキラキラした包で包まれている飴や小さなお菓子がたくさん並んでいて、そのお店を見るだけでもワクワクします。

イメージとしては、お菓子の詰め放題のお店がありますよね。その、いろんな種類のお菓子が種類ごとにたくさんずらりと並んでいて、そこから好きな種類のお菓子を好きなだけ選ぶというような雰囲気を想像するといいかもしれません。

そんな“お正月マーケット”、最も有名なのが、台北市の迪化街エリアで行われる「台北年貨大街(台北お正月マーケット)」。

この迪化街が観光地として人気だから、“お正月マーケット”も有名…というわけではなく、実は“お正月マーケット”は迪化街で始まったのです。

台湾では1987年まで戒厳令が敷かれていましたが、、それが解除されると、本土文化の発展が徐々に重視されるようになり、文化資産の意識が芽生え始めました。1970年代から199年代にかけて二十年以上に渡る運動と主張の末、1990年代に都市計画によって、迪化街がある「大稻埕」の歴史エリアが保護されることになりました。

「大稻埕」エリアは台北で初期に栄えた場所の一つとされ、清朝時代の末期から日本統治時代にかけて栄えてきたのですが、時代の変化と共に“旧市街”となっていきました。

そんな「大稻埕」エリアに、どうにかして人を呼び戻そう!と始まった都市計画の一つとして、1996年、当時、台北市長だった陳水扁氏が「迪化街エリア」に住む市民の意見をもとに「年貨大街計画」が立てられ、春節前の消費が現地の経済を盛り上げ、100年の歴史を持つ「迪化街エリア」に再び命を吹き込もうと“お正月マーケット”が始まりました。

春節前に各商店がみなお店の軒先にまで出てきて、お正月商品をずらりと並べ、ご祝儀を振る舞ったり、「元寶山」と呼ばれる金色の昔のお金の形をした縁起のいいものを配ったり、さらには市長と握手ができる!などのイベントを行って積極的にアピールしたところ、これが大人気に!

多くの人が訪れ、古い街並みと新しい取り組みが見事にマッチし、「迪化街エリア」の知名度が再び上がりました。

これが“お正月マーケット”「年貨大街」の始まりでした。

今では、この“お正月マーケット”は台湾各地のみならず、中国の北京や上海、そしてアメリカのサンフランシスコでも、旧正月前になると「迪化街エリア」から始まった「年貨大街」が行われています。

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今や、旧正月前の風物詩として、台湾のあちらこちらで行われるようになった“お正月マーケット”「年貨大街」ですが、昨年に引き続き、今年(2022年)も新型コロナの影響を受けていて、“お正月マーケット”発祥の「迪化街エリア」では、毎年道路にもいっぱい並んでいた屋台を禁止し、飲食の屋台や試食の提供を行わないスタイルで開催しています。

また、出かけずともネットでもお正月グッズが購入できるようにと、1月30日まで、台湾最大のオンライン“お正月マーケット”、「台北年貨大街オンラインサイト」を打ち出しています。

新型コロナがきっかけで、“お正月マーケット”も新たな取り組みを始めていますね。

ただ、やはりたくさんのお店や商品が並び、あちらこちらで呼びかけが聞こえてくるあの熱気や、お店の人と会話をしながら、試食もしながら、買い物をするといった、昔ながらのマーケットの楽しみ方ができないのはちょっと残念です。

今年もちょっと寂しい“お正月マーケット”ですが、コロナ後、機会があればこの“お正月マーケット”が開かれる春節前に台湾を訪れて、その雰囲気を楽しんでみてくださいね。

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