民間行事は旧暦で行われる台湾では、もうすぐ年中行事の中で最も重要な「春節(旧正月)」がやってきます。
ですので、日本ではお正月気分がそろそろ終わる…という頃かと思いますが、台湾ではまだまだ、今は年末です。
その年末の楽しみと言えば皆さん何を思い浮かべますか?そう、「ボーナス」!!
台湾でも多くの企業で、この旧正月前に「年終獎金(通称:年終)」という名の「ボーナス」が出ます。
この「年終」は、古くは後漢時代に似たような伝統があります。
後漢時代、皇帝が、文官や武官と言ったもろもろの役人たち「文武百官」に「年終」を出していました。それが「年終」の起源だと言われています。
その頃は、旧暦の12月を「臘月」と言っていたことから、「年終」は、「臘賜」と呼ばれていたそうです。
この旧暦の12月「臘月」は後漢の民間行事の中でも春節(=旧正月)に劣らず重要とされていました。
「臘賜」は、お金であったり、物だったりしたそうで、漢の時代の官職の名称などを記した書物「漢官儀」に、“大将軍と三公は20万のお金、牛肉200斤、ジャポニカ米200斛を受け取った。これは彼らの1年分の給与に相当するものだ”との記載があります。
ただし全員がこのような手厚いボーナスを受け取れたわけではありません。
階級によって、特進や侯爵は15万、卿は10万、校尉は5万、尚書は3万、侍中、將、大夫はそれぞれ2万、千石、六百石は各7000、虎賁郎、羽林郎は3000…と、金額が少なくなっていたそうです。
その後、中国の歴代王朝では、皇帝が旧暦の12月に「臘賜」と呼ばれる“ボーナス”を与えていました。
ちなみに、皇帝によって、ちょっとケチでもらえるものが少なかったり、羽振りが良くたくさんくれる皇帝がいたりとしたそうです。
そして商業経済が発展してくると、農家の人たちも「年終」を受け取ることができるようになりました。
例えば、北宋時代、地主が旧暦の年末になると、使用人などに褒美や贈り物をしていたそうです。
ただ、実際に現代の感覚の「年終」は、産業革命から100年以上たった後、西洋から伝わってきたとされていますが、かつてのベースがあったからこそ馴染んだのかもしれませんね。
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ちなみに、日本では「ボーナスをもらってすぐ辞めるのはどうなのか…」と言った相談をネットなどで見かけたりしますが、台湾では、「年終」の金額を見て、他社と比べて少ないと退職を決意する人や、以前から退職を考えていても「年終」をもらうまで待って、もらってから退職の申請を出すという人も少なくありません。…というか、よく聞きます。
ですので、旧正月が明けたら同僚が辞めていたなんてこともよくあります。
そのあたりは、台湾の人たちはシビアだなと思います。
なお、昨年(2021年)は、台湾のパブリックバンクがここ数年で最高の年末を迎えたということもあり、銀行関係の今回の「年終(ボーナス)」は、6か月から7か月分と言われています。
また、台湾の他、アメリカを中心に海外に広く店舗展開しているドリンクスタンド「Sharetea」の会社、聯發國際は、コロナ禍にもかかわらず業績が良く、今回の「ボーナス」は最高で8か月分が支給されるそうです。
そして更に!台湾の海運大手、長榮海運(エバーグリーン・マリン)は、新型コロナの影響によって世界のコンテナ船の価格が上昇したことで業績が良かったことから、なんと今回、最高で40か月分の「ボーナス」を支給するとしていて話題となっています!
(40か月分なんて、初めて聞きました!うらやましいですね!!)