今日ご紹介するキーワードは「高雄站」。
台湾南部・高雄にある在来線台湾鉄道の主要駅、「高雄駅」です。
「高雄」駅といえば、台湾南部の交通の要所です。南部を旅した時に利用したことがあるという方も多いのではないでしょうか。
その「高雄」駅を出ると左手に、旧駅舎があったのをご存知でしょうか。
日本統治時代の1941年に完成した帝冠様式と呼ばれる、和洋折衷の建築様式で、白い壁に洋風の窓の建物に和風の屋根がかけられた建物です。
高雄駅の地下化工事や高雄新交通システムMRT(高雄メトロ)の建設にあたって仮駅舎が完成したため、一時は取り壊しが検討されたのですが、保存を求める声が多くあったことから保存が決まり、2002年に駅の南東にあった駐車場までそのままの姿で82.6メートル曳家されました。
そして、鉄道地下化工事が完了し、駅のすぐ横を走っていた中博高架橋も撤去され、このたび、その高雄駅の旧駅舎が19年ぶりに元の場所に帰ってきました!
移動のために、建物の①補強、②ジャッキアップ、③移動という3段階のプロセスでの大掛かりなお引越し。
まずは2,500トンある建物を394センチまでジャッキアップ。そして8月22日から西へ移動を始めました。初日はわずか70センチの移動でしたが、多い時には6.6メートル移動。
そして中秋節の連休に入る前の9月17日に合計14日間をかけて目標の57.86メートルの移動が完了し、元の場所に帰ってきました!
高雄駅が新しくなり、街もどんどんと新しい都市へと進化する中、旧駅舎が元の場所に帰ってきた姿を見た高雄の人たちは、一気に懐かしい思い出が溢れてきたようで、高雄市の陳其邁・市長も、自身のフェイスブックページに、「まるでタイムマシンで過去に戻ったかのように、目の前で懐かしい映画のワンシーンワンシーンが流れているような感覚になった」とコメントしています。
この旧駅舎の建物は、現在は固定作業が行われていて、9月25日、26日には記念セレモニーと現地参観イベントが行われ、今後は新駅舎と結合して入り口として使用されます。
次回、皆さんが高雄駅を訪れた際には、新旧が融合した新たな高雄の“顔”、「高雄駅」にも足を運んでみてください。