先週、台湾のあるスナック菓子が、イギリスの公共放送「英国放送協会(BBC)」に着目されて、わざわざ記事にして紹介されました。BBCはそれを「台湾のパソコンの守り神」、「台湾ハイテク産業の幸運なおまじない」と紹介しました。そのお菓子は、「乖乖(グァイグァイ)」です。
台湾で旅行したことのあるリスナー様は、台湾のコンビニでこのようなパッケージをしたお菓子を見かけたことはあるでしょうか?大きな青い帽子をかぶり、黄色い蝶ネクタイを結び、オレンジ色のジャケットと白い手袋をし、黒豆のような両目をし、2本の前歯が見えるほど口を大きく開いて笑っている男の子のイラストが印刷されています。それが乖乖です。
日本のお菓子を例にしますと、「カール」や、「キャラメルコーン」にちょっと似たような食感のお菓子です。主に緑、黄色、赤の3色のパッケージがあります。緑は「ココナッツバター」、黄色は干しエビ、麦芽糖、黒胡椒、ピーナッツバター、お醤油などの調味料で作った、5つの香りと書く「五香」味、そして赤は、「チョコ味」です。
「乖」という字は、中国語では「おとなしい」、「いい子にしている」という形容詞です。それを2回繰り返しますと、「いい子」であることを強調、または「いい子にしてね」という意味合いがあります。この縁起のいい名前にかけて、台湾のIT産業、製造業、金融業など、機械に携わる産業では、機械の上に「乖乖」を置き、その機械が異常なく、順調に作動することを祈る習慣があります。ところで、ただ置くだけではありません。3つの「絶対的なルール」を守らないと、効果が出ないと言われています。
1.「必ず緑パッケージの乖乖を置くこと」
交通信号機では、緑色の信号は「通行可能」を表していますね。機械でも、緑色のランプは「安全」、「正常に作動している」ことを象徴しています。その願掛けとして、緑色の「乖乖」は、「機械がいい子にして、故障することなく、ちゃんと動くように」という意味があります。
ちなみに黄色や赤色は、エラーが発生するときによく見かける色なので、黄色や赤色の「乖乖」を置いたら、効果がないどころが、むしろ機械がさらにおかしくなると信じられていますよ。
2、「賞味期限が切れたものを置いてはいけないこと」
「乖乖」は、賞味期限のうち、機械を守る効果があると信じられています。そのため、定期的に新しい「乖乖」に入れ替える必要があります。ちなみに、「乖乖」の商品価格は、1パックおよそ台湾元20元から25元(およそ日本円76円から96円)、賞味期限は12ヶ月もありますので、案外それほどお金はかかりませんが、特に「信仰の深い」人は、1ヶ月おきに新しいものに交換しているそうです。それでは、任期を終えて、入れ替えられた「乖乖」は、どうすればいいでしょうか?そこは「ルール3」とはちょっと関係しています。
3、「機械に供えられている「乖乖」は、絶対食べてはいけないこと」
実際ネット上では、「機械の上に置かれている乖乖が新入社員に食べられたら、会社のサーバーが落ちた」という実例がしょっちゅう見かけられます。それは本当かどうかはわかりませんが、「乖乖」の魔力を信じる環境の中で、勝手に「乖乖」を食べてしまったら、周りに怒られることだけは確実です。賞味期限が切れた「乖乖」の場合、「食べてもいい」という人も、「食べてはいけないからそのまま捨てる」と主張する人もいて、諸説あります。そこは各職場のやり方に従うのが一番でしょう。
「乖乖」は最初、「東大製薬」という製薬会社が1968年に、新たな事業を展開する折に発案した商品です。メーカーによりますと、「乖乖」と命名したのは、見込み客である子供に向けて、みんながいい子でいることを願う意味合いがある、ということです。
ところで、「乖乖」が今では子供にではなく、機械が故障しないおまじないとして、台湾で知れ渡るようになったのは、ある大学院生が始まりと言われています。その大学院生はパソコンを使って研究している時、パソコンが何度もフリーズしてしまい、困り果てていました。そこで、大学院生は試しに緑の「乖乖」を機械のお守りとしてパソコンの上に置いたら、なんとパソコンがすんなりと作動し始めました。このように、緑の「乖乖」の力がまたたく間に広まったと言われています。
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※「生理用品」はスイッチングハブ、配電ボックスに欠かせないもの?
実は「乖乖」のほかに、なんと「生理用ナプキン」は、台湾ではスイッチングハブや配電ボックスに欠かせない重要なものと見られています。
台湾のネット掲示板ではこの間、配電ボックスの扉の裏側に、生理ナプキンが一面に貼られている写真が話題となりました。「乖乖」ほど一般的な習慣ではありませんが、この写真を見た、エンジニアだと名乗った複数の人は「確かにそうする」と証言し、しかも「緑の乖乖」と同じメーカー指定があると説明しました。アメリカの日用品メーカー、キンバリークラーク社のナプキンブランド「コテックス」の、植物素材を使用した夜用ナプキンがいい、と言われています。
なぜなら、キンバリークラーク社の生理用ナプキンブランド「コテックス」は、台湾では「靠得住」と翻訳されているからです。「靠得住」を直訳しますと、「頼れる」という意味です。それから、植物素材は、安全を象徴する「緑色」を連想されます。夜用は「長持ちする」ことが特徴です。そのため、このようなナプキンを貼ることで、配電ボックスが電力を安定供給する、スイッチングハブはどれほどの通信量があっても、渋滞を起こすことなく、順調に受け入れられるよう祈願する意味合いがありますよ。
(編集:曾輿婷/王淑卿)