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GO GO台湾 - 2021-03-27_壁面アートが人気の観光スポット

  • 27 March, 2021
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壁画アートで人気のスポットと言えば台中市の「彩虹眷村」。建物の老朽化や基礎が不安定なことから崩壊の危機があると言われている。ここに絵を描いている“虹のお爺ちゃん”こと黄永阜も98歳。台中市は市を上げて保存に動き始めた。(写真:CNA)
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“台湾で最も美しい駅”と呼ばれる「多良駅」の入り口までの坂道に壁画が完成した。地元の女子高の美術クラス48名によるこのエリアの特色や産業が描かれている。(写真:CNA)

トーク①:台東「多良」駅に地元の文化や特色を描いた壁画が登場!≫

先週、3月20日、このコーナーでもたびたび紹介している“台湾で最も美しい駅”と呼ばれる台東県の太麻里郷の「多良」駅に新たな壁画が登場し、公開されました。

この「多良」駅は、利用者の減少によって2006年に廃駅となっていて今は電車は止まらないんですが、海沿いに線路が走っていて、駅の赤い柵と、太平洋の青い海のコントラストが素敵な「台湾で最も景色の美しい駅」として有名で、わざわざ車やバイクで訪れる人も多い人気の観光スポットなんです。

その「多良」駅は線路に沿って走る道路よりも高い場所に駅があって、道路から駅の入り口まで長い坂道を登っていくのですが、その駅の入り口のおよそ80メートルにわたる坂道の壁面に、地元の女子高の美術クラスの生徒と先生、48名によって壁画が描かれました。

この女子高の美術クラスのメンバーは、台東郵便局や台東国軍英雄館の壁面アートも行っていて、それに続いての創作だそうです。

なんでも、美術クラスの先生の同級生が台東県に勤めていて、「多良」駅入り口までの壁面に絵を描くという活動を知ったそうです。ただ、当初の予算では経費として足りず断念しかけたのですが、学生たちをがっかりさせたくないと、このプロジェクトの計画書を書き、教育部に経費の申請を出して実現したそうです。

当初は40メートルの壁面に絵を描く予定でしたが、後に80メートルという巨大な壁画に変更。創作に参加した学生は、「最初に壁を見たときは『これを完成させるのは無理でしょう…』と思った」そうですが、6日間をかけて、見事な壁画が完成しました!ちなみに、創作期間中、学生たちは毎朝7時半に学校を出発して、学校に戻るのは夜の7時だったそうです。

壁画には、このエリアに住むパイワン族の文化や、集落の特色や産業などが描かれています。

鮮やかな赤色の畑で、“穀物のルビー”と呼ばれる「レッドキヌア」を収穫している女性の絵があるのですが、その絵を見て、この集落の子供が「あの人、誰かのおばあちゃんに似てる!」なんて声も聞こえたそうですよ。

中でも最も注目を集めていたのが、青い海、青い空の上を泳ぐ一匹の龍の絵。

パイワン族の伝統文化の中に“龍”はでてこないそうで、多くの人が「なぜ龍の絵?」と注目しましたが、なんでもこのエリアにあるパイワン族の集落の山の上に天然ダムができていて、日本統治時代、そこから海まで流れている渓流の様子がまるで龍のような形をしているとして、日本政府がこの渓流を「瀧渓」と呼び、それが「瀧集落」の名前の由来となっているんだそうです。その伝説をもとに描かれています。

太麻里郷では現地の文化プロモーションや集落の物語の伝承、地方産業の発展と旅客の利便性を考え、「多良」駅を中心に周辺施設や環境美化の整備を行い、特色を生かした観光産業を運営しています。今回のこの壁画も環境美化の一つとして行われていて、これから駅からの美しい景色だけでなく、この壁画も目当てに訪れる人が増えそうです。

「多良」駅は線路の電化工事に伴って、昨年(2020年)にトンネルの位置も変わりましたし、今回、新たにこの壁画も登場。新型コロナによって海外旅行ができなくなって以降にいろいろと変わっていますので、まだ訪れたことのない方はもちろん、過去に「多良」駅に行ったことがあるという方も、また旅行が解禁になりましたら、ちょっと変わった「多良」駅に足を運んでみてくださいね。

なお、「多良」駅では、人気観光地となり多くの人が訪れるようになったのと同時に、ゴミも増え、地元の人たちから長年にわたり苦情が寄せられていたことから、先月、2月1日から「多良」駅の入場料を取るようになりました。入場料は1人10台湾元(日本円およそ38円)です。この入園料は、清掃費などに使われるとのことです。

それでも、ゴミはなるべく出さずに、きれいな駅を楽しみたいですね。

“台湾で最も美しい駅”「多良」駅までのアクセスは、在来線台湾鉄道に乗って、「台東」駅か、「太麻里」駅、もしくは「大武」駅で降りてバスに乗り換え、「多良」バス停下車です。最寄りの「金崙」駅と「瀧溪」駅からもバスはありますが、列車によってはこの駅に止まらないものもあるので、「台東」駅、「太麻里」駅、「大武」駅が便利だと思いますよ。

ちなみに、今、この「多良」駅を復活させようという動きもあるので、将来的には、「多良」駅に降りることもできるようになるかもしれません。

トーク②:壁画スポット人気ナンバーワン「彩虹眷村」≫

壁画スポットとして忘れてはならないのは、台湾中部・台中の南屯區にある「彩虹眷村(通称:虹の村)」。

「眷村」とは、1949年、中国大陸から国民党政府とともに台湾にやってきた軍人らが簡素な住居を作り生活の場としていた集落のことで、台湾の各地にあります。

この「彩虹眷村」もその一つで、老朽化と再開発のために取り壊しが決まっていたのですが、ここに住む一人のお爺さん、黄永阜さんが、再開発のために取り壊される予定だった古い家屋の壁に、何か思い出を残したいと思い絵を描き始めました。

その絵は、赤を基調にした模様や人、動物などが壁いっぱいに描かれたカラフルなもので、その絵を見た近くの大学の学生や教授らがそのかわいく表情豊かな絵に魅了され、一人の学生が台中市に文化資産として保存することを申請しました。

そして、文化資産としては認定されませんでしたが、所有者の同意のもと、「彩虹藝術公園(レインボー・アート公園)」として保存されることとなったのです。

黄永阜さんが描いたカラフルな壁画に新型コロナの前は、毎年世界中から取材に訪れ注目を集めたほか、世界的にも有名な旅行ガイドブック「ロンリープラネット」で、「世界の秘密の奇跡」の一つとして選ばれるなど、国際的な観光地となりました。黄永阜さんも“彩虹爺爺(虹のお爺ちゃん)”として親しまれています。運が良ければ、“彩虹爺爺”にも会えたりもします。

訪れると、その絵になんだか元気をもらえますし、“彩虹爺爺”と会えると、そのお元気でにこやかな笑顔に癒されます。

最近は、様々なグッズも販売していて、私もマスキングテープなどをお土産に買って帰りました。

そんな「彩虹眷村(虹の村)」ですが、建物の梁や柱は白アリ対策が不十分で、周辺の基礎整備は完了したものの「彩虹眷村(虹の村)」だけは基礎が不安定で、このままだと3年から5年のうちに崩壊してしまうと言われています。しかも“彩虹爺爺”も98歳。この国際的にも価値があるとされる「彩虹眷村(虹の村)」を台中市は市を挙げて保存すべきだと動き始めました。

いますぐに立ち入りが危険だとされる場所はありませんが、地震などの天災が起こったときなども考え、現在、24時間体制で監視をすると同時に、建物の構造強化を進めています。

“彩虹爺爺”の絵は、なんだか笑顔になる、そして元気をもらえるかわいさがあります。

また皆さんが台湾を訪れることができるようになったときに、お爺ちゃんもお元気で、そして建物も安全に見て回れることを願います。

「彩虹眷村(虹の村)」へのアクセスは、在来線台湾鉄道「台中」駅下車、56番のバスに乗って「彩虹眷村」バス停下車、すぐです。

トーク③:「坑口彩繪村」、「美仁里彩繪村」、「虎尾北溪剪紙藝術村」≫

このほかにも、今、台湾には、様々な場所に壁画アートスポットがありますよ。実はここ数年、台湾では壁画が流行していて、多くの地域でアーティスティックな作品を通して新たな観光スポットを作り出しています。

台湾北部・桃園の「坑口彩繪村(坑口アート村)」。

この「坑口彩繪村」は、桃園市の蘆竹にある100年以上の歴史をもつ「誠聖宮」のそばから始まりました。

なんでもアートによって村を盛り上げようということで、住民も協力し、民家や工場の壁面にペインティングを行いました。最初は「誠聖宮」のそばだけだったのですが、それが徐々に拡大し、今では、およそ1000坪もの面積範囲で壁画アートが描かれています。この付近の住民の多くは農業で生計を立てていたことから、壁画の多くは1950年代から1960年代にかけての農村の風景です。

柔らかいタッチで描かれているものが多く、中にはほぼ原寸大の水牛や鶏、アヒルなどが描かれていたりして、まるで自分も水牛とともに田んぼを耕しているような気分を味わえます。

また、壁画の景色にも奥行きがあって、まるでその壁の先にまで村が続いているような不思議な錯覚を起こします。

「坑口彩繪村」は、現在は「誠聖宮」周辺、「彩繪二巷區」、「永純化工區」、そして「海山路沿線」エリアの4つのエリアに分けられます。それぞれのエリアで画風も違いますよ。

中には、日本でもおなじみのアニメのキャラクターや、世界的に有名なキャラクターの絵があったりもしますが、やはり農村の風景を描いた壁画が素敵だなと思いました。ぜひ全エリア回って楽しんでみてください。

「坑口彩繪村」までのアクセスは、台北駅から、もしくは桃園国際空港から、桃園空港MRT(桃園メトロ)に乗ってA11「坑口」駅下車、案内標識がありますのでそれに沿って徒歩およそ10分で着きます。

ちなみに、「坑口彩繪村」の入り口、「誠聖宮」のそばには、どこにどのような壁画アートがあるのかの案内マップがありますので、それをチェックしてから行くといいかもしれません。

そして、懐かしい台湾の風景を描いた壁画と言えば、台中市の沙鹿區の「美仁里彩繪村(美仁里アート村)」。1950年代の台湾の街の風景を立体的に描いていて、例えば、昔ながらの果物屋さんや、懐かしい雰囲気のジューススタンドだったり、元々はコンクリートの壁に赤レンガが描かれることで懐かしい路地の雰囲気になっていたり、またそこに描かれている人たちも等身大で描かれているので、まるで自分もその時代にタイムスリップして、その時代の風景に溶け込んだ感じの写真を撮ることができます。

台湾の懐かしい生活の風景を楽しみたい方は、この「美仁里彩繪村」がおススメです。「美仁里彩繪村」までのアクセスは、在来線台湾鉄道「沙鹿」駅下車、徒歩5分です。

もう一つ、ちょっと他のアート村とはテイストの違う気になる壁画スポットがあります。それは、台湾中南部・雲林にある「虎尾北溪剪紙藝術村(虎尾北渓剪紙芸術村)」。

この「剪紙」とは中華圏の伝統的な“切り絵”のことで、ここは、芸術家の鄭元東氏が率いる、虎尾科技大学の学生数十人が作った切り絵アート村です。

そう、他のアート村と違うのは、ここは“切り絵”を“絵画”にしたアート村なんです。

伝統的な十二支や、一年の行事などをテーマに白い壁に赤い塗料を使って“切り絵”の伝統的な図案を描いています。

色は白い壁に赤だけとシンプルなのに“切り絵”で作り出される細かなデザインを忠実に描き出していて、とても豪華、そしておめでたい雰囲気です。

この壁画は、他にはないと思いますので、ぜひ見に行ってみてください。

ちなみに、写真を撮るのも撮られるのも上手な台湾の方がネットに書いていた情報によると、ここに来るときのポイントは、赤や白の服を着てこないことだそうです。赤や白の服を着ると壁の前に立った時に溶け込んでしまって何も見えなくなるので、避けた方がいいそうです。それ以外の服であれば、何もしなくても、白く塗られた部分の真ん中に立つだけで素敵な写真が撮れますよ!と書いていました。皆さんも覚えておいてくださいね。

「虎尾北溪剪紙藝術村」までのアクセスは、在来線台湾鉄道「斗南」駅下車、7102番のバスに乗って「虎尾」バス停で乗り換え。7111番のバスに乗って「北溪厝」バス停下車すぐです。

乗り換えが自信ないなという方は、駅前からタクシーに乗ると便利ですよ。

今、台湾にはこのほかにもたくさんの壁面アートスポットがあります。どこもそれぞれ雰囲気が違うので、壁面アート巡りをするのも楽しいですよ。

自身の好きなアートを探してみてくださいね。

ちなみに、壁面アートをしている多くの場所は人が住んでいる住宅地ですので、住んでいる方々に迷惑をかけないようにして楽しんでくださいね。

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