間もなく東日本大震災発生から10年となります。震災発生後、日本は台湾から200億円を上回る世界最高額の義援金をはじめ、数々の支援や応援をもらいました。それに対して日本からも官民挙げて多くの人たちから感謝の気持ちを伝える動きが起こりました。
そして台湾でも、感謝の気持ちを届けたいと、震災の翌年2012年に日本人留学生が中心となり「謝謝台灣」イベントが開催されました。
それがきっかけとなり、以降毎年3月に、台湾の人たちへの感謝の気持ちを届けるとともに、被災地の現状を伝え、さらには日本と台湾の「心の絆」をより深いものにすることを目的にこの「謝謝台灣」イベントが行われてきました。
その間、雨に見舞われ急きょ会場を移して行った年や、昨年(2020年)は新型コロナによる影響でイベントが中止となり、別の場所で展示のみ行ったりということもありましたが、毎年、台湾北部・新北市の淡水をイベント会場として感謝の気持ちを伝えるイベントを行ってきています。
そして昨日3月7日に、淡水で10回目となる「謝謝台灣」イベントが行われ、そこで「日台心の絆」記念碑の除幕式が執り行われました。
除幕式には、淡水区の巫宗仁・区長や、日本の対台湾窓口機関・日本台湾交流協会の村嶋郁代・広報文化部長らも参加しました。
記念碑には、「日台・心の絆! 謝謝台灣 私たちは忘れない」と刻まれ、日本語と中国語で、「震災から10年の節目にあたり、私たちは台湾への感謝の思いを永遠に忘れないと誓い、その証としてここ淡水に『日台心の絆』の碑を寄贈いたします」と記されています。
イベントの会場ではこの記念碑の除幕式の他に、ステージでは、東北からのビデオメッセージなどが放映され、中でも台湾からの義援金で再建された病院からのメッセージが流れると、その映像を写真に収める人の姿もありました。
時折、霧雨が降る中、会場は多くの人が立ち寄っていました。
今回、この「謝謝台灣」イベントの実行委員長を務める開南大学の留学生、佐々木咲さんは宮城県大崎市出身。当時小学4年生だった彼女は、激しい地震の揺れは今でも鮮明に覚えているそうです。
ただ、震災発生から10年という月日が流れ、だんだんと震災の時に台湾からたくさんの支援を受けたことを知らない若者が増えていると感じています。佐々木さん自身も台湾留学を決めてから、震災の時に台湾からたくさんの支援を受けたことを知ったんだそうです。
そこで、もっと知らない日本人が多いのではないかと思い、台湾と東北を繋げるために活動できるのであればと、改めて台湾留学への希望を高めたそうです。
佐々木さん
「東北出身ということもあるので、台湾の方々に感謝の気持ちを伝えたりし、日本人でも台湾人でも、東日本大震災から始まった絆を知らない人も多かったので伝いたいという思いから活動に参加させていただくことになりました。今回一番違うのは、記念碑が建てられたことが大きいです。淡水を訪れるたびに、日台の絆を再確認できるようにと、『謝謝台湾』の聖地が淡水であるということを皆さんに知ってもらいたいという思いがあります。コロナが落ち着いたらぜひとも淡水に来て、石碑と一緒に写真を撮っていただいて、日台の絆を確認していただきたいと思います。」
「日台・心の絆」記念碑は台北新交通システムMRT(台北メトロ)レッドラインの淡水駅前、淡水老街広場に設置されています。
これから、3月のイベントのタイミングに台湾を訪れることができなくても、この石碑によっていつでも心の絆を確認できるのではないでしょうか。
また旅行が解禁になりましたら、ぜひ淡水までこの石碑を見に出かけてみてください。