先日、外交部がフィリピン、ベトナム、タイ、マレーシアの4カ国のメディアとタイアップして制作を行った台湾紹介番組「攜手台灣(EmbracingTaiwan)」の記者発表会が行われました。今週はその話題についてご紹介しましょう。
台湾では2016年から「新南向政策」を展開しています。
この「新南向政策」とは、蔡英文政権が対外政策の目玉として位置づけている政策で、ASEAN(東南アジア諸国連合)や南アジア、オーストラリアおよびニュージーランドといった、台湾より南側に位置する国々18ヶ国との各分野の関係を更に発展させて強化し、経済関係の中国大陸への集中を改善しようとするものです。具体的には、ASEANや南アジアなどの国々に工場を設立して受託生産の基地とする従来の一方通行の政策方法ではなく、人材や資金、技術、文化、教育など、双方向の交流を拡大して、戦略的パートナーシップを構築し、「経済共同体意識」を確立していく計画です。
その促進の主軸となっているのが4つ。
1つ目はパートナー国との産業サプライチェーンの統合や現地の内需市場の開発、インフラ建設の協力などを拡大し、新しい経済貿易のパートナーシップを確立する「経済貿易協力」。
2つ目は“人”を中心とし、双方の若手専門家、学生、産業の人材の交流と育成を進め、人材資源の相互補完と共有を促進する「人材交流」。
3つ目は文化、観光、医療、科学技術、農業、中小企業などのソフトパワーを活用して、パートナー国の生活の質の向上および台湾の経済貿易発展の土台を広げていく「資源の共有」。
そして4つ目はパートナー国との多国的および二国間の制度化した協力を拡大し、話し合いと対話を強化すると同時に、民間団体、華僑ネットワーク、第3国の力を効果的に活用し、地域の安定と繁栄を共同で促進する「地域の連携」。
この4つから成り立っています。
外交部は昨年、その台湾の「新南向政策」の成果の宣伝を強化するため、フィリピン、ベトナム、タイ、インドの国営メディアと協力し、各国の言語で、それぞれのカラーを持った台湾紹介番組「攜手台灣(EmbracingTaiwan)」を制作。番組は好評を得て、放送後は4カ国合計で8,800万人を越える人々から視聴されました。
そして今年、第2弾として、フィリピン、ベトナム、タイ、マレーシアの4カ国とタイアップして番組を制作。台湾の新南向政策を広く知らしめると共に、台湾の新型コロナ対策における経験などを示し、「台灣可以幫忙(台湾がお手伝いできます、台湾がお手伝いしています)」という精神を表しています。
各国の番組は全2話で構成されていて、1話の番組の長さはおよそ22分。全てハイビジョン画質で撮影されています。
今年、新型コロナウイルスは世界中でパンデミックを引き起こし、今もなお収束が見えてきませんが、台湾は抑え込みに成功しており、世界からも注目を集めています。台湾紹介番組では、そんな新型コロナウイルスに対する台湾の防疫対策の実績を軸に、政府が打ち出している重要政策、“スマート機器”、“アジアのシリコンバレー”、“グリーンエネルギー”、“バイオ医療”、“国防産業”、それに“新農業”と“循環型経済”を加えた「5+2産業イノベーション計画」や、「将来を見据えたインフラ整備計画」、「1つの国に1つの医療センター」、「六大核心戦略産業」などの政策方針に沿ってリモート制作方式で番組が作られていて、全編において台湾の地方の風景や人情味、新たな生活スタイル、誇れる科学技術の革新と産業応用効果などを映し出しています。
先月、行われた記者発表会では外交部の田中光・政務次長がスピーチを行い、フィリピン、ベトナム、タイ、マレーシアの4カ国の有名な司会者(ナビゲーター)たちもオンラインで参加しました。
外交部によると、今年は新型肺炎の影響で各国のロケ隊が台湾に撮影に来ることができなかったため、リモート制作方式に変更して番組を制作したと説明。新型コロナに対する防疫措置や、他の国との防疫対策への協力、また新南向政策の対象国にマスクを送るなどを盛り込み、、目に見えてわかりやすい台湾の新型コロナ対策、そして国際的な人道支援および国際医療において「能夠幫忙,且正在幫忙」(台湾がお手伝いできます、台湾がお手伝いしています/Taiwan can help,and is helping)」という精神を示しました。
フィリピン、ベトナム、タイ、マレーシアの4カ国とタイアップして作られた「攜手台灣(EmbracingTaiwan)」は8月から各国の大手テレビ局でゴールデンタイムに放送されています。今回のタイアップによって、新南向政策対象国の視聴者へ台湾の多彩な姿を伝えると共に、台湾に対する理解や知識を深め、双方の更なる交流や提携の機会を促進できるよう期待がもたれています。