まだまだ世界中で蔓延している新型コロナウイルスですが、その封じ込めに成功していると世界から注目されている台湾。2003年のSARSの教訓を生かし、いち早く情報をキャッチし、それを精査し、封じ込め戦略に着手していました。現在もなお、海外からの帰国者や訪台者から感染が確認される事案があるものの、国内は4月13日以降、感染者ゼロが続いています。そのおかげで台湾に住む私たちはこれまでとほとんど変わらない生活が送られているのですが、その裏には、新型コロナウイルスの感染拡大防止の現場で奮闘する人たちの姿があります。
そんな感染拡大防止の現場で奮闘する人たちのインタビューや台湾の医療用マスクや関連物資が世界80カ国以上に順次届いている事などを紹介した映像「台湾からの祝福」を外交部が先日(9/11)、今年の国連総会の開幕に先がけて公開しました。
第75回国連総会は、15日に開幕。今日22日から26日にかけてと29日に一般討論演説が行われます。新型コロナの感染拡大を受け各国首脳らはニューヨークの国連本部には集結しないものの、ビデオ演説が可能となったため、今年は「かつてないほど多くの首脳」が演説を行う見通しとのことです。
国連が1971年の総会で、中華人民共和国を「中国」の代表とする決議を採択したことから、国連の設立当初からの原加盟国だった中華民国は、国連脱退を余儀なくされました。1990年代以降、中華民国(台湾)が「中国」の名義ではなく、人口2300万人の「中華民国台湾」として国連への復帰に向けて頑張っています。
今年は世界中が新型コロナウイルスに苦しめられていて、全世界の人々と国連が掲げる「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成が一層困難になっていることから、今年の国連総会では、新型コロナウイルスへの対応や終息後の復興計画が主要テーマとなっており、映像はこれに呼応する形で発表されました。
今回の国連総会において、台湾は国連における防疫対策や復興に関連する取り組みに積極的に参加する意欲があり、能力もある。台湾における持続可能な開発目標への活動や新型コロナウイルス感染拡大防止での実績や経験を共有し、台湾は世界各国がアフターコロナ時代を迎え、経済振興を図る際に、必要不可欠なパートナーであるという事を国際社会に示す狙いがあります。
そこで、この「台湾からの祝福」のPR映像でもその台湾の国際貢献をアピール。およそ2分半の映像は、中国語版のほかに、英語や日本語、スペイン語、フランス語、ドイツ語、ロシア語、ベトナム語、タイ語、インドネシア語の字幕がつけられたバージョンがあり、映像の締めくくりには、台北のランドマーク、世界有数の超高層ビル「台北101」がそびえ立つ台北の景色を背景に、「グローバルな課題に取り組むには、全員の参加が必要です。新型コロナも例外ではありません」とのメッセージが映し出され、「グローバルの議題は台湾がお手伝いできます。台湾が今お手伝いしています」ということを強調しています。
外交部が8月末に示した、今年台湾が国連参与のため定めた3つの主張は、国連は直ちに2,350万の台湾人が不当に国連体系から排除されている問題を解決する行動を起こすべきであること。国連は台湾の民衆およびマスコミが国連を訪れたり、会議やイベントへの出席や取材などの権利を不当に剥奪されている状況を速やかに正すこと。そして、国連は台湾に「持続可能な開発目標(SDGs)」実現に向けた関係会議やメカニズム、活動に参与できるよう平等の権利や尊厳を確保すべきであること。
外交部は、「国連への参与を勝ち取るのは非常に困難な任務である。しかし、政府と民間が長年、共に努力してきた結果、世界が我々の国連参与を支持するエネルギーが引き続き蓄積されている」とし、「より素晴らしく、寛容性があり、持続的発展が可能なポストコロナ時代を作り出すため、国連は直ちに台湾の2,350万人の参与を受け入れるべきである」と訴えています。
この国連総会へ向けたPR映像「台湾からの祝福」は、外交部のYouTbubeチャンネル「潮台湾(Trending Taiwan)(https://www.youtube.com/watch?v=alalgH-YjAw)」や公式フェイスブック(https://www.facebook.com/trendingtaiwan/)で観ることができます。
また、この映像だけでなく、アメリカ・ニューヨークの中心部、タイムズスクエアには国連システムへの参加を目指す台湾のひときわ目立つ大型広告が登場。国連が掲げる「誰も置き去りにしない」理念の実現を求める姿勢を伝えています。
今日から始まる一般討論演説では、中華民国(台湾)と外交関係を結ぶ国の元首らが台湾のために声を上げる予定で、台湾はこれらの国々の駐国連常任代表を通じ、台湾の受け入れを求める書簡をアントニオ・グテーレス国連事務総長に送付すると共に、理念の近い国に適切な場面での支援を要請しています。