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台湾ソフトパワー - 2020-07-28_台湾初の女性駐米代表、蕭美琴さん

  • 28 July, 2020
台湾ソフトパワー
4匹の愛猫と共にアメリカへ出発する直前の蕭美琴さん。桃園国際空港にて(写真:CNA)

先週(7/22)、台湾で初の女性駐米代表となる、蕭美琴さんが桃園国際空港からアメリカへと飛び立ちました。“駐米代表”とは駐米大使に相当するポストで、台湾とアメリカの関係をつなぐ重要な役割を果たしています。中華民国台湾は、アメリカと正式な外交関係はないため、アメリカに大使館を設けていません。その代わりに駐アメリカ台北経済文化代表処という出先機関が設けられています。蕭美琴さんは、この出先機関のトップとなります。その重要なポストに今回任命された蕭美琴さんとは一体どのような人でしょうか。

蕭美琴さんは、台湾人の父、アメリカ人の母の元、1971年に日本の兵庫県で生まれ、台南で育ちました。中学卒業後にアメリカに留学し、オーバリン大学で東アジアについて学び、コロンビア大学で政治学の修士課程を修了しました。アメリカで学んでいた高校生のときには政治についてとても熱心で、彼女の父親によると、中国で天安門事件が起こったときには、学校で中国の学生を支持するチラシを配ったりしていたそうです。大学時代は図書館で働いていて、その頃から台湾禁書に触れるようになり、海外の反対運動にも積極的に参加するようになります。そして政治にかかわっていこうと思い始めた彼女。最初の仕事は民進党の駐米代表処で執行長に就任。外交および語学の才能を十分に発揮しました。

26歳のときに台湾に戻り、民進党国際事務部の主任に。当時、民進党最年少の抜擢でした。党内では、蕭美琴さんのことを「美人な赤ちゃん」と呼ぶ人がいたほど、美しく、そして仕事もとてもまじめだったそうです。2000年に台湾で初めて政権交代が行われ、蕭美琴さんは当時の陳水扁・総統の通訳と総統府顧問を勤めます。2002年2月から民進党の比例代表の立法委員として正式に政界に足を踏み入れ、2005年1月まで比例代表の立法委員を務めていました。2004年には台北市から日本で言う国会議員にあたる立法委員選挙に立候補し当選。政治の舞台で活躍していくための基礎を広げ固めていきました。国会議員である立法委員を全部で4期(第5期と第6期、第8期と第9期)務め、今年4月からは国家安全会議諮問委員を務めていました。

そんな経歴を持つ蕭美琴さん、プライベートでは、猫が大好きなんだとか。今回、アメリカへ飛び立つ際も、斜めに掛けたバッグと、コンパクトなキャリーバッグのほかに、4匹の猫が入った4つのケージが一緒でした。搭乗手続きをしている際も、ケージを覗き込んで猫たちに「大丈夫よ。緊張しないで」と声を掛けていました。

そして台湾で猫好きの代表といえば…そう、蔡英文・総統ですよね。蕭美琴さんと蔡英文・総統は、共に猫が好きという点から、公私共に仲がよく、蔡英文・総統が2010年当時、新北市長選に立候補した際には、戸籍を新北市の永和にある、蕭美琴さんの住所の近所に移したという程、親密です。

また、2012年8月に、蕭美琴さんが花蓮県へ台風9号の被災地視察に訪れた際に、台湾鉄道・和平駅付近のぬかるんだ路上で一匹のトラネコを拾い自宅で保護するのですが、その後、当時、党主席であった蔡英文・総統が引き取ることになったというエピソードがあります。ちなみにその猫が英語名「クッキー」という、今も蔡英文・総統のSNSなどにも時々登場する愛猫のうちの一匹です。

そんな猫好きとしてもつながりの深い二人ですが、もちろん、それだけでなく、しっかりとした信頼関係があるからこそ、今回、台湾初となる女性駐米代表への抜擢。

蔡英文・総統は、「アメリカは台湾にとってとても重要な国際パートナーであることから、すでにある強固な基盤の上に、引き続き台湾とアメリカ両国の関係を強化することで、両国の安定した繁栄がさらに多くの可能性を生み出していく」としており、蕭美琴さんに大きな期待をよせています。

新たに駐米代表の命を受けた蕭美琴さんは、「すでに“科学技術の安全”が米中の戦略競争の焦点となっており、台湾はアメリカのような理念を同じくする国家の信頼できるパートナーであることを確認すると共に、台湾の強みを生かし、世界の産業や技術環境の戦略において重要な役割を果たすチャンスを積極的につかむべきだ」と語っています。また、「これはハイテク産業においてだけでなく、医療面においても同じことが言え、台湾の強みでもある医療は世界の産業やサプライチェーンの戦略において重要な役割が期待されている」としました。

また自身のことについては、「生え抜きの外交官ではないが、だからこそ斬新な取り組みができる」としており、「既存の枠を飛び出して、台湾の文化や美食なども含め、様々なソフトパワーともコラボレーションをし、台湾とアメリカの関係を新たな戦略レベルに引き上げ、最終的には台湾人が国際舞台に胸を張ってあがれるようにしたい」としています。

持ち前の国際感覚で、与党・民進党から高く評価され、蔡英文・総統をはじめ、多くの期待を背負ってアメリカへと旅立った蕭美琴さん。今後の台湾とアメリカ、ひいては台湾と世界をつなぐキーパーソンとなっていくかもしれません。

(編集:中野理絵/王淑卿)

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