ナルワンアワー(金曜日) - 2019-04-12 「すみません」と「不好意思」

  • 12 April, 2019
  • 駒田 英

台湾において日本のカルチャーは、非常に高い人気を誇ります。それは、日本占領下の台湾において、日本人として生まれ育った、いわゆる「日本語世代」のお年寄りだけではなく、若者もそうなんです。もちろん、流行という捉えをしている人もいますが、日本の社会、文化をより深く理解している若者たちもたくさんいます。

そして、こうした背景があるからでしょうが、リスナーの皆様の中にも、台湾の人と知り合い、国、民族の違いといったものをそれほど強く感じずに仲良くなれた、という方もいらっしゃるかもしれません。

この度、一人の台湾の女性ライターが、日本でも台湾でもよく使われる「ある言葉」の、双方の社会、人への影響についてまとめました。ご紹介しましょう。

その「ある言葉」とは、「すみません」です。日本では、人にぶつかったとき、電車で人をかき分けて降りるとき、喫茶店で注文をするとき、道で誰かにものを尋ねるときなどなど、様々なケースで「すみません」を使いますよね。

実は台湾にも、標準中国語では「不好意思」、台湾最大の方言、台湾語では「パインセ」という言葉があり、日本語の「すみません」と概ね同じ状況、意味で使われます。「不好意思」は不思議のふ、好き嫌いの好き、意見のい、思うと書きます。

この「不好意思」も「パインセ」も、日本語の「すみません」と同様、謝罪、感謝、そして何かを尋ねるときに使いますが、そのため、相手から言われた際には、一体、どの意味で使われているかについて、その状況から判断しなければなりません。ただ、日本、台湾以外の海外の人々にとっては、その違いは分かりづらく、ほとんどすべてが「謝罪」の意味合いで捉えられるということです。

そして、このライターは、日本語の「すみません」という言葉は、日本人の「空気を読む」という文化と関連が深いと指摘、台湾の人々は、日本人ほど空気を読むことはなく、言葉選びにも慎重ではないものの、言語の専門家は、台湾の人々の「不好意思」や「パインセ」も、台湾社会全体の「他人のことを慮り、礼儀正しい関係を努力して保とうとする態度を示している」と指摘している、と紹介しました。

さらに、「すみません」も「不好意思」も、相手に対する気配りや協調性から個人が自主的に使っているのであれば問題ないが、個人よりも組織や学校などの集団、集合体が優先される場で、使わざるをえなくなると、それは個人にとってはプレッシャーのかかる状態だと分析、台湾に比べ、日本がストレス社会と言われるのはこの点かもしれないと指摘しました。

なかなか鋭い分析でしたね。台湾には、このような日本をよく知る、「知日」の人たちがたくさんいます。日本も今、台湾ブームが起こりつつありますが、逆に、台湾をよく知る人々がさらに増え、交流がより深まることを期待したいと思います。