ナルワンアワー(金曜日) - 2018-11-23 日本人の台湾文学翻訳家、天野健太郎さん

  • 23 November, 2018
  • 駒田 英
作家の龍応台氏

 金曜日の「ナルワンアワー」では、中華民国台湾と日本の各領域の交流や、台湾と日本の社会、文化の比較などの話題をご紹介しています。今週は、先週の12日、膵臓がんのため、47歳の若さで亡くなった日本の台湾文学翻訳家、天野健太郎さんをご紹介します。

 日本における台湾カルチャー案内役のトップランナーといえる天野さんの死は、台湾、日本の多くの関係者、読者にショックを与えています。

 天野さんは1971年、愛知県で生まれました、大学で国語、標準中国語の文学、国中文学を専攻、標準中国語も学び初め、台湾や中国大陸へ留学し、研鑽を深めました。台湾では4年間留学、その留学期間に初めて台湾の文学に触れ、その魅力に取り憑かれます。そして、自身も本好きの天野さんは、自分が面白いと感じた本は、多くの日本人にとっても面白いはずだと考え、翻訳、出版を考えるようになります。

 天野さんは会議通訳、ビジネス翻訳などで活躍していましたが、2010年、台湾市場向けの日本文学の翻訳を行っていた黄碧君さんと出会います。そして、2012年、台湾を中心とした標準中国語の書籍を日本に紹介、提案、翻訳、企画出版、版権仲介する会社「聞文堂」を立ち上げました。

 そして2013年、台湾の著名な女流作家、龍応台の「大江大海一九四九」の日本語訳「台湾海峡一九四九」を出版、中国大陸から国民党政府と共に台湾に渡ってきた人々、外省人の目線から歴史を描いたノンフィクションは、日本でも大きな話題となりました。

 その後も、世界に名だたる絵本画家ジミーの「星空」、人気写真家、猫夫人による猫に関する写真エッセイ、人気コラムニストが台湾の日本統治時代を生き生きと描いた「日本統治時代の台湾」、台湾の人気作家、呉明益が1970年代の台北をノスタルジックに描いた短編集「歩道橋の魔術師」など、様々なジャンルの作品を世に送り出しました。そして、台湾文学、エッセイなどのレベルの高さは、日本においても次第に認知されるようになりました。

 また、台湾書籍の魅力を多角的に紹介するウェブサイト「もっと台湾」の運営のほか、台北駐日経済文化代表処台湾文化センターにおいても、カルチャーミーティングを主催し、日本における、台湾カルチャー案内役として精力的に活躍されていました。