
半導体受託生産大手、台湾積体電路製造(TSMC)のアメリカ・アリゾナ州の工場で現地時間の6日、最初の設備搬入式典が行われました。創業者の張忠謀(モリス・チャン)氏は、「アメリカにウェハ工場を作るのがずっと夢だった。この夢は今日、TSMCの劉德音・董事長がかなえてくれた」と感慨深げに語りました。
TSMCのアリゾナ州フェニックスの工場で行われた式典には、91歳の張忠謀(モリス・チャン)氏も張淑芬・夫人と共に遠路はるばるフェニックスまで行き参加しました。
そして祝辞の中で、1987年にTSMCを設立した当時の夢を振り返り、ずっとアメリカにウェハ工場を作るのが夢だった。オレゴン州に工場を構えたことがあるものの、コストや人材、そして文化的な要因から夢は悪夢となり、今日に至るまでかなわなかったと話しました。
また、20年以上経ち、世界は大きく変化した。政治環境も随分と違う、今は新たな夢がある、それは、古い夢と結び付けて、アメリカ政府の協力の下、過去の経験から学んだことで、今、TSMCはより良い準備ができ、この夢が20年以上たってようやく劉德音氏によって実現されたと語りました。
劉德音氏はTSMCの董事長に就任後、2020年に120億米ドルを投じて、アリゾナ州に5ナノメートルプロセスのウェハー工場の建設を発表しました。今回の式典の中で、現在建設中の第一段階は2024年に4ナノメートルウェハーの量産を開始する予定であると正式に発表しました。また現在、第二段階の建設を既に開始しており、2026年には3ナノメートルプロセスを開始する予定です。
両段階の投資総額はおよそ400億米ドルでえ、アメリカ史上最大規模の海外直接投資プロジェクトの一つとなります。
両段階が完成すると、合計の年間生産能力は60万枚を超え、最終製品の市場価値は400億米ドル以上になると推定されています。
式典には、アメリカのジョー・バイデン(Joe Biden)大統領、アメリカ商務省のジーナ・レモンド(Gina Raimondo)長官、アリゾナ州のダグ・デューシー(Doug Ducey)州知事、アリゾナ州のマーク・ケリー(Mark Kelly)上院議員、そしてケイト・ガジェゴ(Kate Gallego)フェニックス市長ら、アメリカの政府関係者や議員らもお祝いに駆け付けたほか、アップルのティム・クック(Tim Cook)CEOや、AMDのリサ・スー(Liza Su)CEO、Nvidiaの共同創業者兼CEOの黃仁勳(Jensen Huang)氏、そして美光(Micron)のサンジャイ・メロトラ(Sanjay Mehrotra)CEOらも出席し、TSMCの設備搬入成功を祝いました。
(編集:中野理絵)