
日本の安倍晋三・元首相は22日、蔡英文・総統と行ったオンライン会談の中で、台湾有事は、同時に日本の有事、さらには日米同盟の有事とイコールであると述べ、インド太平洋地域は、武力による一方的な現状変更を許してはならないとの見方を示しました。
国家安全局の陳明通・局長と外交部(=外務省)の田中光・次長は24日、立法院(=国会)外交および国防委員会で、「地政学的な観点からみた東アジアの最新情勢と国家安全、および関連の危機管理計画」を報告し、議員の質問に答えました。
これら安部・元首相の発言は、個人的な意見なのか、日本の立場なのかとの与党・民進党の羅致政・立法委員の質疑に対し、田・外交部次長は、これらは日本で徐々に形成された共通認識であるとの見方を示しました。
田・外交部次長は、「安部・元首相の日本での影響力は大きい。彼が日本政府の雰囲気を代表していると信じている」と述べ、台湾有事は日本の有事、日本有事は日米同盟の有事、これは、日本で徐々に生まれつつある共通認識かとの質問について「はい」と答えました。
アメリカについて田・外交部次長は、現在のところ、コメントを控えているが、アメリカは台湾との関係が堅固だということを、さまざまな場面で繰り返し強調してきた、としました。
また4月中旬にパラオで開かれる第7回アワ・オーシャン会合(OOC)で、アメリカが、台湾に対し、国名や国旗を使用しないよう強く求めていると伝えられたことについて、外交部はまだ否定していません。
国家安全局の陳明通・局長は、最大野党・国民党の江啟臣・立法委員の質疑に対し、繰り返し述べていることだが、アメリカ側は安全保障問題について明確な戦略を持っており、政治問題については曖昧模糊な戦略を取っていると話しました。
ロシア・ウクライナ戦争下においても、ナッシュ均衡は一方的に変更されることはなく、アメリカは明確に対台湾政策を重ねて表明しているとしました。
陳・国家安全局長は、ロシア・ウクライナ戦争において、アメリカは軍を派遣していないが、アメリカはウクライナに対し非常に協力的だと指摘。アメリカ・ウクライナ間に関係法はないが、台湾との間には関係法があるため、法を根拠にできると話しました。
江・立法委員の、両国の状況、環境、敵は異なり、比較するのは適切ではないとの指摘に対して、陳・国家安全局長は、共通の要因も異なる要因もあり、無関係とは言えないとしました。
また、陳・国家安全局長は、野党第二党・台湾民衆党の邱臣遠・立法委員の質疑に対し、中国は、ロシア・ウクライナ戦争を利用し、アメリカは援助しないなどと拡散するなど、台湾に対する「認知戦」を行っていると指摘しました。
また、中国の習近平・国家主席が今年の秋に「台湾への全面的な侵攻」を考えていると伝えられていることについて、陳・国家安全局長は、中国では今年、第20回全国代表大会(党大会)が開催される。あらゆる状況から習・主席の安定を維持したいとの考えが見え、侵攻の可能性は低く、これは中国の認知戦だとの見方を示しました。
(編集:風間みなみ/王淑卿)