不倫が合法に、刑法の姦通罪は憲法違反

  • 01 June, 2020
  • 早田健文
姦通罪を定めた刑法に対して、違憲解釈。不倫が合法に。今後、不倫トラブルは民法が主戦場となる。(写真:unsplash)

台湾の最高裁に当たる司法院大法官会議は29日、「姦通罪」と呼ばれる、いわゆる不倫行為に対して刑事罰を定めた刑法と刑事訴訟法の規定は、憲法違反だとする憲法解釈を発表しました。これにより、「姦通罪」は直ちに効力を失い、不倫に対する刑事責任は問われなくなります。

台湾ではこれまで、婚姻関係にある夫婦の不貞行為、いわゆる不倫行為に対して、刑法第239条で「姦通罪」と呼ばれる罰則規定が設けられており、1年以下の懲役が求められました。しかし、今回の憲法解釈は、「姦通罪」は人民の性の自主権を制限し、個人のプライバシーに深刻に干渉するものであり、憲法に違反していると判断するものです。

今回、大法官会議が発表した憲法解釈第791号は、「刑法第239条の『姦通罪』は、刑罰によって直接、人民とその人格の自由、人間性の尊厳と密接な関係を持つ性の自主権を制限するものであり、その審判の過程で、個人のプライバシーに深刻に干渉しており、守るべき利益より損害の方が明らかに大きい。このため、刑法第239条は、憲法第22条が保障する性の自主権を制限するものであり、その手段、目的はバランスを失っており、憲法第23条の比例原則に反しているため、憲法違反だ」と指摘しています。

また、刑事訴訟法第239条但書については、「姦通を行った人に対する告訴が撤回されれば、その効力は姦通を行った人に及ばないと規定されており、配偶者の姦通の相手となった人に対してだけ追訴、処罰することは、婚姻関係が継続できるかどうかと実質的な関係がなく、このため被害を受けた配偶者にとっては、往々にして報復の効果がもたらされるにすぎない。しかも、姦通の共犯者である配偶者と姦通の相手が同時に罰則の対象となる必要がない。これは、憲法第7条の平等権の保障に反しており、憲法に違反している」と指摘しています。

さらに、「姦通罪」は親告罪であることから、告訴を受けて公訴を提起することになり、このため被害者の妻が告訴する場合、姦通行為を行った夫を告訴せず、相手となった女性だけを告訴するケースが多いということです。

このため、今回の憲法解釈では、さらに、「刑法第239条と刑事訴訟法第239条但書が実際に適用された結果は、処罰の対象となった者の性別差が大きく、審理の過程で女性が不利な立場に立たされることが多く、憲法増修正条文が求める性別地位の実質的な平等の促進に合っておらず、疑問がある」と説明しています。

大法官会議の主席を兼ねる許宗力・司法院長は、「姦通罪」を憲法違反だとするこの憲法解釈について、以下のように語っています。

「国家が刑罰によって制裁さる違法行為は、原則的に公の利益を侵害し、反社会性を持つ行為に限られるものであり、個人の感情を損ない、しかも主に私人の間の権利、義務の争いである行為を、一概に刑罰による制裁の範囲に入れるべきではない。しかも、婚姻の成立は双方の感情を基礎とするものであり、その平穏、円満を維持できるかどうかは、婚姻双方の努力と承諾に頼るものであり、刑罰に頼るものではない」「婚姻の中で配偶者の一方がその婚姻の承諾に背き、姦通行為を行うことは、婚姻関係の中で守るべき忠誠の義務を損なうものであり、相手方の感情と婚姻に対する期待を損なうものであるが、公共の利益を明らかに損なうことには至らない。このため、国家が刑法によって姦通行為を処罰する必要があるかについては、疑問がないわけではない」

これに対して、法務部の蔡清祥・部長は、遺憾だが尊重すると表明し、この憲法解釈に基づいて案件を処理するよう各検察官に書面で送ると指摘しました。

法務部の統計によると、台湾全土で「姦通罪」によって服役している受刑者は3人いますが、この憲法解釈によって判決が効力を失い、直ちに釈放されました。法務部によると、この「姦通罪」や重婚など家庭妨害、婚姻妨害に関して捜査中の案件は、今年4月末の時点で355件あります。刑務所で服役している人は33人で、男性25人、女性8人です。そのうち、3人が「姦通罪」によるものでした。

刑法の姦通罪は廃止されたものの、民事責任は従来通りで、今後、不倫をめぐるトラブルは民法によって争われることになる。

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