
インターネットを通じて出前を頼むフードデリバリー・サービスが、台湾でも近年、急速に成長しています。このため、多くの若い人たちが、アルバイトとして配達員の仕事に携わることが増えています。
しかし、こうしたフードデリバリー・サービスのうち、代表的な存在である「UberEATS(ウーバーイーツ)」の一部の配達員が、新しいインセンティブ制度によって収入が減るとして、ストライキを呼び掛ける事件が発生しました。
新しい制度では、インセンティブの発給を受けるには、3日間に75回配達しなければならないと決められているのですが、とても達成できるハードルではないというのです。
「最初の希望と違っています。私は学生で、もうすぐ学校が始まるので、新しい制度で決められたように、70回も配達するのは無理ですよ」
フードデリバリー・サービス「UberEATS(ウーバーイーツ)」の配達員の話です。会社から通知されてきた新しい制度では、
インセンティブが発給される最低のハードルは、3日内に75回配達するというもので、インセンティブの金額は1775台湾元(日本円およそ6000円)です。配達員にとって、ハードルをクリアすることは難しいのです。
このため、SNSを通じてストライキ呼び掛ける配達員も現れました。
「普段でも仕事がなかなかもらえないのに、今度は待遇が悪くなっています」
しかし、台湾の消費者はこうしたネットで出前を頼めるデリバリーに頼ることが多いのです。
2018年、インターネットを通じたフードデリバリーの売上高は、236億元(およそ800億円)に達しました。このため、アルバイトとしてデリバリーの仕事をする若い人がますます増えています。しかし、デリバリーの仕事は、待遇が悪くなっています。
「UberEATS」の場合、以前は1回の配達で70元から80元(およそ237円から270円)の収入がありましたが、新しい制度では40元~50元(およそ135円から170円)に減っていすます。また、インセンティブも減っています。
配達員がストライキを呼び掛けたことについて、「UberEATS」は、「個人別に適したインセンティブのシステムを作って提供するが、基本である配達に対する報酬は変更せず、普段通りの運営を続ける」との声明を発表しました。
文化大学法学部の邱駿彦・教授は、「こうした状況を、政府は放任すべきではない。放任を続ければ、労使関係はますます混乱することになる」と指摘しています。
デリバリーサービスの運営会社と配達員の間に雇用関係があるのかどうかについて、労働行政を担当する中央官庁の労働部は、個別案件ごとに事実認定を行うと表明しています。こうした若い労働者の権益に対して、政府関連部門がより関心を持つことが求められています。