
行政院(内閣)の卓栄泰・院長(首相)は6日に開かれた本会議(閣議)で、新しいデジタルサービスから生じる新たな情報セキュリティの安全リスクに対処するため、中国のスタートアップ企業DeepSeekが提供する人工知能(AI)サービスの公的機関での使用を直ちに禁止すること、並びに、中国ブランドの情報通信製品の使用や、公務以外の用途のソフトウェアをインストールすることも禁止すると発表しました。
行政院は先日、「DeepSeekのAIサービスはデータソースの取得において、著作権法に関連する法律の違反が疑われ、人が話す文章の後にどの単語が来るかを予測する言語モデルの学習においても思想検閲や制限などデータに偏りがある。また、DeepSeekのAIサービスを利用することで生成されたデータが中国に送信される情報セキュリティ上のリスクについては、いまだ解明・排除されておらず、個人情報保護違反やプライバシー侵害などの疑いもある」と発表していました。そのため、卓・行政院長は、公的機関の内部情報保護などを考慮し、国家情報通信の安全を確保するため、公的機関に対し、DeepSeekのAIサービス利用を全面的に禁止するよう要請しました。
卓・行政院長は今日行われた本会議の中でさらに、国家情報通信の安全を確保するために、政府の各目的事業を担当する中央目的事業主管機関が情報セキュリティ管理法に規定された重要インフラ施設の提供者や政府出資の財団法人に対し同様の規範に従うよう監督すべきであると指摘しました。
行政院の李慧芝・報道官は卓・行政院長の言葉を次のように伝えています。
李・報道官は、「卓・行政院長は、デジタル発展部(デジタル省)に対し、行政院を代表して各公的機関に書簡で、国家の情報通信の安全を脅かす製品の使用を制限する原則に従わなければならないこと、さらに、公務用の情報通信製品において中国ブランドの使用を一律禁止し、また、公務以外の用途のソフトウェアのインストールも禁止すると、再度要請した」と述べました。
卓・行政院長はまた、「教育・研究施設については、教育部と国家科学委員会(国科会)が規制について別に協議する。仮に国公立大学や研究機関で使用のニーズがある場合は、規定に従って認可を申請し、必要な管理措置に従ったのち、使用できる」と指摘しました。
卓・行政院長はさらに、民間企業について、デジタル発展部と国家科学委員会に対し、より一歩進んだ形で国際基準と同等の評価ツールを使用し、評価結果に基づいて適切なリスク警告を提供するよう求めました。また、管理規範はより正確で、積極的、合理的かつ効果的でなければならないとし、行政院の吳誠文・政務委員(=無任所大臣)に対し、省庁の枠組みを超えた会議を招集し、合理的な統治原則について議論するよう要請しました。
(編集:豊田楓蓮/駒田英/本村大資)