
行政院(内閣)が先ごろ立法院(国会)に提出した「第11期第3回会期における最新の施政に関する報告書」の内容が明らかとなりました。
報告書によりますと、アメリカと中国の間の戦略的競争の激化、ロシア・ウクライナ戦争、中東地区の地政学的紛争などの経済リスクにより、アメリカの民間格付け会社S&P Global社による最新予測では、2025年の世界経済成長率は2.5%となり、昨年の2.7%から低下したものの、台湾は人工知能(AI)などの新興技術アプリケーションの需要の恩恵を引き続き受けるため、輸出と生産能力を効果的に引き上げ、民間による投資のパフォーマンス改善につながる、と指摘しています。
そして、行政院主計総処は最新予測として、2024年の台湾の経済成長率を4.27%に上方修正し、2025年も3%を超え、2年連続で世界平均を上回るとの見通しを示しました。
また、報告書の中では、政府は引き続き「台湾への投資」の3大プログラムを推進していくとして、「一兆台湾元投資国家発展計画」に加え、積極的に各省庁を支援し 温室効果ガス排出の実質ゼロを指す「2050年ネットゼロ転換」、さらに頼清徳・総統の政策に呼応する形で、2027年までに年間1500億台湾元(日本円でおよそ7000億円)の新たな投資目標を達成し、産業のイノベーションとモデルチェンジを加速させることが挙げられました。また、半導体、人工知能(AI)、軍事工業、安全セキュリティのモニタリング、次世代通信といった「5つの信頼される産業」を積極的に展開していくことについても、言及されています。
産業の発展と密接な関係がある電力供給に関しては、各地で新規発電所の建設ラッシュが続いていること、再生可能エネルギーが拡大していること、また、新料金制度などの施策など により、今年も安定した供給状況が続くと予想されている、と指摘されました。
国防に関しては、義務兵役全体の訓練強化のため、台湾は昨年1月1日から再び兵役の期間を1年に延長したと説明、昨年の効果を検証した上で、今年から8週間の入隊訓練課程の訓練項目を増やす計画であることを明らかにしました。拳銃、実弾付き機関銃のほか、ドローン、対戦車ロケット弾、携帯式防空ミサイルシステムの操作などの導入により、義務兵役の戦闘能力を強化し、軍隊の訓練の基礎を固めるということです。
両岸関係については、台湾が「四つの堅持」と「四つの不変」を堅持し、「平和のための4大アクションプラン」を積極的に実施していくとの方針を示しました。同時に、学生たちの中国大陸と両岸関係に対する理解を深め、健全で秩序ある両岸の経済貿易交流を促進していくほか、両岸の経済貿易政策や規制を柔軟に調整し、台湾の離島と中国大陸との局地的な三通、いわゆる「小三通(通信、通商、通航)」の申請や双方の観光の再開などの交流活動を最新の情勢に照らして引き続き評価、検討し、情勢の全体的な発展を考慮しながら、両岸の法律や、中国大陸から台湾を訪れる旅行者の安全管理メカニズムなどを継続的に見直していく、と説明されています。
外交面では、政府は引き続き、総合的な外交・栄邦計画(友好国との関係を強化し、相手国の発展を促す計画)を通じて、国交のある国や友好国との関係を深めていくほか、経済・貿易外交を推進し、太陽の沈まない国としての台湾経済を構築していく、と説明しました。また、政府は国際組織に積極的に参加し、交流エネルギーを現実的に蓄積するほか、価値外交を推進し、台湾の国際参与と影響力を拡大するほか、華僑社会に、政府の関心を伝え、台湾の民主主義の力と産業の強靭性を広める奉仕をしていく、との方針を示しています。
(編集:豊田楓蓮/駒田英/本村大資)