
台湾のシンクタンク、台湾経済研究院(台経院)は5日、2024年12月の製造業景気信号を発表。12月は景気低迷を示す黄色青色信号から安定を示す緑色信号に好転しました。学者の分析によりますと、アメリカの年末消費や在庫補充の需要の高まりの恩恵を受け、台湾の輸出受注および生産指数の年間成長率が共に2割以上の増加となりました。しかし、アメリカのドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領の関税政策から、インフレ圧力が再度高まる可能性があること。また中国のスタートアップ企業Deep Seekの台頭から、今後、台湾の製造業に影響があるかどうか注視する必要があるとしています。
台湾経済研究院は、アメリカの年末消費や在庫補充の需要の高まり、そしてサービス業の継続的な活況の恩恵を受け、アメリカが再び台湾最大の輸出国へと躍り出たと指摘しました。さらには東南アジア諸国連合(ASEAN)への輸出も単月の過去最高となっており、輸出および生産指数の年間増加率は上昇し続けていると指摘しました。このほか、集積回路や情報通信製品の輸入が引き続き好調で、半導体設備の購入も大幅に成長したことから、2024年12月の製造業の景気信号は、11月の12.10ポイントから2.77ポイントの大幅アップし、14.87ポイントとなり、信号は景気低迷を示す黄色青色信号から、安定を示す緑色信号へと好転しました。
台湾経済研究院の許碧書・副研究員は、12月の製造業景気信号は低迷を示す黄色青色信号を突破し、安定を示す緑色信号となった。ポイントは輸出受注および生産指数の年間成長率がともに2割以上伸びたことに加え、輸入も3割以上増加し、需要面と原材料投入面の指標の動きをもたらしたことが現れていると指摘。今年1月もおそらく好調が続くだろうとしています。
許碧書・副研究員は、「1月分は、おそらく比較的好調な部分を維持できるだろう。将来的な発展については、引き続き観察が必要だ。メーカーの12月の時点での考えでは、今月の見立てはあまりよくないと考えていたが、製造業の今後半年の見通しはまだ比較的楽観的で、確率も比較的高いと思われる。そのためこれは今後も観察し続ける必要がある」と説明しました。
ただ、許・副研究員は、アメリカのトランプ大統領が2月4日、メキシコとカナダへの関税引き上げ日を1か月後に延期したが、貿易戦争の熱は高まり続けており、各国の対抗措置により世界経済の下振れリスクがある。将来的にインフレ圧力が再度高まり、アメリカの経済を直撃し、さらには世界経済の未来の発展に影響を及ぼす可能性があるとも語っています。
この他、中国のスタートアップ企業DeepSeekの台頭は、AI(人工知能)モデルの効率が向上していることを意味している。現在、既にアメリカのハイテク株や台湾の関連サプライチェーンメーカーの株価動向に影響を与えており、今後はハイエンドAIチップ生産、AI産業チェーンの発展、アメリカによる中国技術への制限などで調整が避けられないだろうとしています。
(編集:中野理絵/許芳瑋/本村大資)