公告
財団法人中央広播電台(中央放送局)ニュース製作、放送に関する規約
中華民国112年(2023年)4月10日
央広新字第 1120000177 号
前言
「中央放送局設置条例」に従い、本局は国家に関するニュース、情報の伝達を担う。法で定められた上述の任務を達成するため、中央放送局を、国内外の聴取者にとって信頼に値し、公正かつ客観的で、プロフェッショナルなメディアにさせるため、特に、関連の法令、規定に基づき、学者、専門家の意見を集め、国内外主要メディアの自律的規範を参酌した上で、ニュース製作、放送に関する規約を定め、本局のニュース担当者に提供し、共に守り従ってもらうものとする。
壹、本則
一、ニュース報道にあたっては下記のような状況があってはならない:
(一)法律で強制または禁止される規定に違反すること。
(二)児童または少年の心身の健康を害すること。
(三)公の秩序または善良の風俗を害すること。
(四)真実追求とバランス留意の原則に違反すること。
二、正確さ:
(一)ニュース報道の前には詳細な調査、確認を行わなくてはならない。スピードよりも正確さを優先し、推測に基づく根拠のない報道をしたり、事実を曲解してはならない。
(二)ニュースの取材及び報道の前には、その出来事について十分に理解しなければならない。そうすることで、議題の重点をただちに把握し、ニュース対応のスピードを速め、正確さを保つ。
(三)報道はニュースソースを明らかにしなければならない。仮に取材対象者が匿名を求めた場合、実際の状況を斟酌し、まず内部で記録しておかなければならない。
(四)取材の際には記録を残しておくと共に、事後の調査に利するよう、関連資料を保管しておかなければならない。
(五)取材の対象は全般的かつ、多岐にわたらなければならない。ニュースの調査、確認は、単一の情報に過度に頼ることなく、少なくとも二つ以上のソースがあることが望ましい。
(六)ニュースは取材後、ただちに発信すべきである。仮に緊急の重大ニュースに遭遇したら、まず確実な内容について短いニュースを発信し、事態の進展を見ながら随時、内容を更新していく。
三、公正さ:
(一)ニュース報道は中立、公正でなければならない。まず最初に事実を報じ、事の進展に従い、全ての重要な意見、関連の意見を、できる限り聴取者に伝える。
(二)ニュース報道の内容は、公正、客観でなければならず、記者や編集者の主観による形容や個人的な意見を差し挟んではならない。
(三)論争を呼ぶ事柄に遭遇した際には、できる限り双方の意見を共に記し、理性的な対話を促さなくてはならない。
(四)特定のテーマに関する評論とニュース速報をウェブページに掲載、または報じる際には、はっきり区分けしなければならない。
(五)ニュース報道の際には、ステレオタイプに基づいたり、偏見や差別意識をもつ語彙をもって特定のエスニックグループ、団体を描写してはならない。異なる種族、エスニックグループ、国籍、肌の色、出身地、社会的地位、信仰、性別、性的指向、婚姻状況、心身障害者及び全ての社会的弱者を、等しく尊重しなければならない。
四、公共の利益:
(一)ニュース報道は、公共の利益を守ることを起点とし、公共的な議題に対する探究を進め、オープンなプラットフォームを提供することで、各方面の意見を十分にたたかわせることができるようにしなければならない。
(二)ニュース報道と評論は、自主独立性を守らなくてはならない。いかなる勢力の影響も受けず、プロ意識を保ち、公共の利益を優先することで、社会的信頼性を保つ。
(三)ニュースの内容は、その質とセンスに注意を払わなくてはならない。世俗に流されず、大衆に迎合する言動で歓心を買ってはならない。
五、職業倫理:
(一)職務、または仕事を通じた関係を利用して、不当な利益をむさぼってはならない。また、請託を受けたり、ニュース製作、放送において、ニュース報道の専門性に反するいかなる報道も行ってはならない。
(二)本職と重なる職務、または関連業務を兼任してはならない。仮に、利益相反する状況がある場合には、自発的に管理職に報告するか、回避を求めなければならない。
(三)政党の党職員または公職に就いてはならない。また、候補者の支援など選挙活動も行ってはならない。仮に公職者選挙に参加する場合は、ただちにニュースに関する業務を停止しなければならない。
(四)いかなる有価証券、または現金を受け取ってはならない。贈答品を受け取る際は利益相反にあたるか、または本局のイメージに影響をおよぼすかについて考慮しなければならない。市価2,000台湾元(約8,800日本円)以上の贈答品は返却しなくてはならない。
(五)取材対象から支払いを受けたり、旅行への招待など、個人の私益につながる活動に関わってはならない。仮に、重大な公共の利益に抵触したり、特殊な状況となった場合には、まず管理職に報告し、許可を得なければならない。
六、誤りの訂正と申し立ての受付
(一)ニュース報道はできるだけ誤りを避けるべきだが、仮に内容に誤りをみつけた場合は、オープンな態度で向き合い、できるだけ早く校閲者及び管理職に伝えなければならない。管理職はオリジナルの内容を記録したのち、ただちに訂正を行い、同時にインターネット編集担当、外国語部門原稿提供担当、外部の提携プラットフォームの窓口担当に修正、更新について伝えなければならない。
(二)かりに、即時の調査、または内容に誤りがあるか否かを確認できない場合も、管理職に伝え、まず記事を取り下げるか、適切な処置を施すかを決定しなければならない。そして、調査を経た後、改めて処置を講じる。かりに、論争を呼ぶ内容に対し、修正するか、取り下げるか否かについて懸念がある場合、または、個別ケースの状況が複雑な場合は、必要に応じて、「ニュース自主規制諮問会議」に届け出なければならない。
(三)『ラジオ・テレビ法』第23条では、「ラジオ局の報道に対し、利害関係者が誤りだとみなし、放送日から15日以内に訂正を求めた場合、ラジオ局はその要求を受けてから7日間以内に、当該番組または当該番組と同一時間の番組内で訂正を行わなければならない。または、その報道に誤りがない理由を、書面をもって回答しなければならない。」と規定している。また、第24条では「評論が他人または機関、団体に及び、その権益に損害を与えた時、評論された側が弁明の機会を求めた場合には拒絶してはならない」と規定している。かりに、利害関係者が訂正を求めたり、申し立てを行った場合にはいずれも、上述の規定によって迅速に対応する。または、適切な方法で紙面、または時間帯をその説明に提供するよう調整する。
(四)かりに、誤った内容が誹謗、名誉毀損またはその他の法律問題に抵触する場合、まずは管理職に伝え、法務担当者に意見を求めたのち、必要な対応を行わなくてはならない。
(五)内容の編集、訂正の過程については、責任の帰属を明確にするため、公式ウェブサイトの管理画面に完全な記録を保管しなければならない。
貳、細則
一、児童、少年に関するニュース
(一)児童、少年事件の報道については、『児童及び少年の福利と権益保障法』、『児童及び少年の性的搾取防止条例』及び『少年事件処理法』の関連規定を遵守しなくてはならない。
(二)犯罪にかかわったり、児童及び少年の心身の健康を害するもの、刑事事件、親権の行使、監護者の指定などについては、児童及び少年の姓名、生年月日、住所、学籍またはその他、身分特定につながる情報を掲載してはならない。
(三)児童、少年本人への取材は、まず記者の身分を明かし、児童、少年、監護者の同意を得なくてはならない。また、強制することなく、本人の取材への意向に反することなく、進めなければならない。
二、司法と犯罪のニュース
(一)「無罪推定の原則」に基づき、被疑者は、裁判所で判決が確定するまでは無罪と推定される。取材、報道の際の言葉選びは慎重でなくてはならない。
(二)審査、訴訟段階の案件については評論を行ってはならない。公開が禁止されている弁論の内容を報じてはならない。
(三)犯罪ニュースの報道は、犯罪の過程、方法を必要以上に詳細に描写してはならない。
(四)報道において犯罪者を英雄扱いしたり、ラベリングしたり、または社会において感情の対立を引き起こしてはならない。
三、災害ニュース
(一)災害及び事故が発生したら、即座に調査を行い、正確、スピーディーな情報とともに、対応措置、方法を提供し、見張り役としてのメディアの機能を果たさなくてはならない。
(二)災害現場での取材は、救助活動の妨げにならないように注意するほか、自身の安全にも留意しなければならない。
(三)かりに多数の死傷者が発生した災害、事故に遭遇した場合、関連省庁に死傷者数や救助の状況を問い合わせなくてはならない。そして、公的機関の発表の情報を基準とし、憶測による報道を行ってはならない。
(四)災害ニュースの報道にあたっては、当事者、被災者(被害者)及び家族を尊重し、写真撮影、文字による叙述にあたっては慎重を期し、誇大、誇張してはならない。
四、政治と選挙のニュース
(一)政治または選挙のニュースを報道する場合、中立公正、周到かつ慎重に調べ、事実に基づき、正確、公平、客観的に伝えなければならない。
(二)政府の関連省庁または重要な人事案は、正式発表前に過度の憶測をしてはならない。調査、確認を経て、または発表後にニュースにしなければならない。
(三)政治または選挙のニュースは、政策に内在する点を十分に探究しなければならず、できる限り、多様な観点及び各領域の関係者の意見を示すことで、政治の代弁者に成り果ててしまうことを避ける。もし、ニュース内容が論争を呼ぶもの、または攻撃性をもつ内容となる場合は、一方の意見のみを敘述してはならない。政党間競争における放言や、相手陣営攻撃の為の手段になってはならない。
(四)各政党や候補者が提示した政策白書または重要な政見については、適切な報道と分析を行わなくてはならない。主要政党の主張を、相応しい割合で均しく報道することで、政権与党と野党の意見を公平に取り扱わなくてはならない。かりに、選挙の過程において、ある一政党の優位性が明らかになる事件が発生した場合には、その対立候補が意見を発表する時、報道が適切なバランスとなるように注意しなければならない。
(五)候補者の政見発表、選挙活動、決起集会などは、できる限り、同じ文章量でかつ同じ時間帯に報道しなければならない。かりに同じ時間帯に伝えることができない場合には、当日のニュースコーナーの終了前、または当日のウェブニュース上でバランスをとって報道しなければならない。
(六)ニュース、番組の製作、司会、アナウンス、取材に関わる者は、個人の政治的立場や特定な好みにより、ニュースまたは番組内で偏った伝え方をしてはならない。また、ソーシャルメディア上でも、本局関係者であることをさらけ出したり、政治上の特定なスタンスを明らかにすることは避けなければならない。ソーシャルメディアで、政策、法案または論争を呼んでいる議題について評論する際は、本局の客観性、公正中立といったメディアの信頼性を守るために、言及した各ケースについて、特定の立場によるものではなく、その論述の証拠を提示しなければならない。
(七)『公職者選挙罷免法』第49条第二項「公共ラジオ・テレビ局及び非営利のラジオ局、地上波テレビ局、ケーブルテレビ局は、選挙活動及び解職請求への支持、反対の宣伝広告を放送してはならない」と定めていることから、選挙のニュースを報じる際には、政党または候補者の広告映像を公式ウェブサイトに直接埋め込んではならない。まず、ニュース報道の専門性に基づいて適切に処理し、報道という形で伝えるべきである。
(八)政治、選挙関連の世論調査は慎重に扱い、報道においては、調査を委託した団体、調査組織、調査方法、有効サンプル数、許容誤差、調査時期などの関連情報について言及しなければならない。政治的立場が明確な組織が提供した世論調査については、その内容に偏りがないか、報道に適しているか考慮しなければならない。選挙に関する世論調査を報じるときに、その結果を、特定候補にとって有利となるように作為的に引用してはならない。
(九)『公職者選挙罷免法』第53条第一項では、政党及びいかなる人も、選挙公告及び解職請求成立宣言から投票日の十日前までに、候補者、罷免された公職者、または選挙、解職請求に関する世論調査の資料を発表する際、調査組織、主催者、実施時期、サンプリング方法、母体数、サンプル数、誤差範囲、経費の出処について、詳細に記録しなければならない、と規定している。また、同条第二項では、政党及びいかなる人も、投票日の十日前から投票時間の締め切りまで、いかなる方法をもってしても、候補者、罷免された公職者、または選挙、解職請求に関する世論調査の資料を発表すること、さらには報道、流布、評論または引用してはならないと規定している。
五、医療ニュース
(一)重大な感染症または感染状況の報道は、政府所管省庁が発表する情報を基準としなければならない。
(二)医療ニュースを報道する際は、患者及び家族のプライバシーを保護しなければならない。所管省庁が発表した資料以外は、本人の同意を得ずに、その病歴を明らかにしてはならない。
(三)医療ニュースは、内容が妥当であるか注意を払わなくてはならない。特定の医療機関や医療行為を宣伝してはならない。
(四)医療ニュースの報道は、『薬事法』の規定を遵守すべきであり、概括的な名称で紹介し、薬品または医療機材、メーカー名などの情報が明らかになることを避け、医療の効能効果を暗示したり、示唆してはならない。医薬品ではない食品について報じる際には、特定の薬効があるように宣伝したり、暗示してはならない。
六、財政、経済と国民生活、消費に関するニュース
(一)財政、金融に関するニュース、株式市場、外貨市場、経済成長率、失業率、消費者物価指数、税関の輸出入統計などのデータ、資料は、極めて正確であることが求められる。
(二)国民生活、消費に関するニュースを報じる際には、広告または特定の商品、メーカーの宣伝にならないように十分に留意する必要がある。概括的な名称で紹介し、直接企業または商品の名称を明らかにすることは避ける。メーカーからの報酬は受け取ってはならない。
(三)財政、金融に関するニュースの記者は、利害衝突の回避の原則を厳守しなければならない。取材またはニュース製作、放送において知り得た情報を利用し、インサイダー取引を行ってはならない。
(四)たばこ、酒類の商品の販売促進または宣伝するニュースを製作、放送してはならない。ニュース内でたばこ、酒類に言及する場合、文末に警告文の注釈をつける必要がある。
(五)消費者の揉め事に関するニュースは、バランスよく報道し、偏った伝え方をしてはならない。
七、自殺に関するニュース
自殺に関するニュース報道は、世界保健機関(WHO)による、自殺に関するニュース報道に関する規範、自殺報道ガイドライン「6つの『すべきでないこと』、6つの『すべきこと』」に従うものとする:
◎6つの「すべきでないこと」
(一)自殺に関するニュースをトップまたは目立つ場所に配置しないこと。かつ、過度に繰り返して報道しない。
(二)センセーショナルにしたり、もっとらしい理由付けをした言葉で描写しないこと。または、自殺を前向きな解決手段の一つであるかのように表現しない。
(三)自殺の方法の細かい点について詳しく説明しないこと。
(四)自殺が発生した場所について伝えないこと。
(五)センセーショナルな見出しを使わないこと。
(六)写真、映像またはソーシャルメディアのリンクなどを載せないこと。
◎6つの「すべきこと」
(一)助けを求める際の正確な情報を提供すること。
(二)人々に向け自殺防止に関する事実と方法を啓蒙し、かつ迷信を拡散させないこと。
(三)生活におけるストレスや自殺願望にいかにして向き合い、助けを求めるかといった前向きなニュースを伝えること。
(四)有名人の自殺を報道する際は、特に注意を払うこと。
(五)自殺した人の遺族や友人への取材は、慎重に行うこと。
(六)メディア関係者も、自殺に関する報道の影響を受けることに気をつけなくてはならない。
八、インターネットニュース
(一)インターネットまたはソーシャルプラットフォームの情報を引用する前には、事実に反した情報を流布したり、認知戦の罠にはまることを防ぐため、まずその内容が真実であるか、正確性を調査、確認し、発信者、ソース、背景、動機にも注意を払わなくてはならない。
(二)インターネットまたはソーシャルプラットフォームの情報を引用する際には、個人のプライバシーを侵したり、名誉を傷つけることを避ける為、公共の利益を起点としなければならない。
(三)インターネット上の映像または画像を使用する必要がある場合は、動画または画像の所有者、発表者の同意、授権を得なければならない。情報提供者が提供した内容と素材が、著作権の規範に合致しているか、法律に違反していない内容かを確認すると共に、肖像権またはプライバシー権の保護にも注意する。
(四)著作権者が明記しないよう求めた場合を除いて、インターネット上の画像を使用する場合は出典を表示しなければならない。映像については、全て字幕で出典を表示しなければならない。また、「著作権法」の使用関連規定に合致していなければならない。
九、本局に関わるニュース
(一)本局に関わるニュースとは、本局、本局の取締役、監査役及び職員の人物または事柄に関する報道を指す。
(二)本局に関わるニュースを報道する際は、そのニュースと本局との関係を明らかにしなければならない。
(三)本局に関わるニュースを報道する際は、公共の利益を拠り所としなければならない。既に公共の議題となってしまっている場合には、本局の『対外発言及びニュース発表に関する作業要点』に基づき、外部へ説明を行わなければならない。
(四)本局に関わるニュースを報道する際は、ニュース製作、放送に関する規約と各メディアによる自主規制の規約の精神を遵守しなけれればならない。また、関係各方面に公平に対話の機会を与えなければならない。
(五)本局に関わるニュースを報道する際は、注釈でその旨を記載し、閲覧者、聴取者が識別できるようにしなければならない。
三、ニュースの自主規制
自主規制の原則を確実に実行し、ニュース製作、放送の質を確保する為、「ニュース自主規制諮問会議」を設立し、以下の事柄を対応しなくてはならない:
一、聴取者と読者の申し立てまたはクレームの処理状況に対し、討論を行う。
二、会議出席メンバーは、ニュースの自主規制に関する提言、改善のためのサポートを行わなければならない。
三、ニュースの製作の過程と内容については、広く討論、提言を行い、新聞部の参考とする。
四、会議における討論の状況と各関連規範の修正、訂正は、会議記録を通じ、スタッフに周知させる。
五、「ニュース自主規制諮問会議運営要点」を別途規定する。
四、附則
本規約の規範の拠り所は、下記の法令を含むが、これに限定されない。
一、ラジオ・テレビ法
二、個人情報保護法
三、国家機密保護法
四、児童及び少年の福利と権益保障法
五、児童及び少年の性的搾取防止条例
六、少年事件処理法
七、性侵害罪防止法
八、人身売買防止法
九、自殺防止法
十、身体障害者権益保障法
十一、精神衛生法
十二、入出国及び移民法
十三、薬事法
十四、伝染病防止法
十五、たばこの害防止法
十六、総統副総統選挙罷免法
十七、公職者選挙罷免法
十八、公民投票法(国民投票法)
十九、刑事訴訟法
二十、著作権法
五、施行と修正、改定。
本ニュース製作、放送に関する規約は、取締役会で承認されたのち公表、実施される。修正の際も同様である。