毎年の旧暦1月4日になりますと、台湾各地の道教の廟では国運籤を引くことが話題となります。国運籤は、字の如く、これからの一年の国の運勢を占うものです。その結果がマスコミによって大いに取り上げられ、専門家がその内容について読み解いたり、政治家がコメントを発表したりします。国運籤は、一体どんな物なのでしょうか。今週はそれについてご紹介したいと思います。
「国運籤」という言葉は、実はあくまでマスコミが人の目を引くために作った新しい単語です。国運籤が初めてマスコミで取り上げられたのは、990年代、割と最近のことです。しかし、おみくじで今後の社会の運勢を占う習慣は、昔からありました。それは、漢字のおおやけに、くじと書く、「公籤」です。これが国運籤のきっかけと言えます。
台湾の民間信仰によりますと、毎年の旧暦12月24日になりますと、人間界にいる神様は所轄している地域の人間のこの一年の行いを、天界を統べる神様に報告するため、天界に戻ります。そのため、旧暦12月24日は、「送神日(神送りの日)」と言います。
神様が留守している間、神様にお伺いを立てることができませんので、各地の廟ではしばらくおみくじを引くことができません。おみくじの再開は、神様が天界から人間界に戻る、翌年の旧暦1月4日になります。この日に、台湾の大きな廟は神様の帰還を迎える儀式「迎神儀式(神迎えの神事)」を行うとともに、神様からおみくじをいただき、今後国の運勢、季節ごとの社会情勢の変化などを予測します。このときに引く籤が公籤と言います。
公籤を引く方法は、廟によって異なります。一般的に言いますと、くじを引く人は、「司礼官」と呼ばれます。「司礼官」は、神事を執り行う職にある者、という意味です。この司礼官になるものは、廟の関係者とは限りません。廟の人が、その地域で人望の高い人に依頼してくじを引いてもらうこともよくあります。...
(編集:曽輿婷/王淑卿)