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台湾ミニ百科(2021-12-29)年越しイベントの始まりは、動物に関係している?

  • 29 December, 2021
台湾ミニ百科
(写真:CNA)

年の瀬が近づいていることに応じて、今日は、大晦日の年越しイベントに関する話題をお話いたしましょう。

年越しイベントと言ったら、やはり年越しコンサートと花火が主流でしょう。熱気に包まれた会場で、隣の人と肩を寄せ合いながら、人気歌手によるライブを楽しみます。時間になったら、みんなで一斉にカウントダウンをし、空高く打ち上げられる花火とともに、新しい1年を迎えます。若者に特に大人気なイベントで、台湾の北部、中部、南部、東部の大都市は、大晦日になりますと、地方自治体主催の年越しコンサートが行われます。各地の年越しコンサートの様子がテレビで生中継されますので、たとえイベント会場にいかなくても、自宅で各地の賑やかな雰囲気が味わえます。

いまはすっかり台湾人の年越しイベントの主流となった、年越しコンサートですが、実は1980年代後半に始まったことで、案外最近のことです。そして、最初の年越しコンサートが行われたきっかけは、動物と関係していますよ。

台湾最初の年越しイベントは、1986年、台湾北部、台北市にあった体育館、中華体育館で行われました。台湾の大手レコード会社、ロックレコードが、同会社に所属している15人の歌手を集めて、長さ4時間も渡るコンサート「快楽天堂」コンサートを行いました。この「快楽天堂」は、このコンサートのテーマであり、15人の歌手がコンサートの最後にともに合唱した歌の曲名でもあります。

1.台北市立動物園の移転、「快楽天堂」が大ヒット

皆様は、台北市立動物園を訪れたことはありますか?台湾の大都会、台北市の南側、木柵にある台北市立動物園は、台湾北部の観光名所です。台北市立動物園は一回引っ越したことがあります。元々は、いまの台北メトロの円山駅の近所にあります。1986年、動物園はより広い敷地面積のため、円山から現在の木柵へ引っ越しました。動物たちも車に乗って、市民の注目を浴びながら、新しい場所へ送られました。この頃、環境保護と動物への愛護意識は一時期議論となりました。大手レコード会社、ロックレコードはその流行りに乗って、1986年、動物園の引っ越しに応じて、15人の歌手による合唱曲「快楽天堂(ハッピー・パラダイス)」をリリースし、環境保護と動物への愛護意識を持つよう呼びかけました。

それから1986年の年末、この歌をテーマとしたコンサートが開催されました。このコンサートについて、ロックレコードは、「史上初めて!」「1986年の最後の一秒が喜びの歓声の中で過ごす。それに続いて、新たな1年がやってくる」など、とても魅力的なキャッチコピーで宣伝しました。コンサートの当日、各ラジオ放送局はその様子を中継し、およそ600万人のリスナーはラジオを通して参加していました。会場内の観客とラジオの中継を聞いていいたリスナーは、15人の歌手とともにカウントダウンをし、新たな1年を迎えました。

このコンサートは、台湾で大きな話題となり、大成功を収めました。コンサートの終盤、15人の歌手が合唱した歌「ハッピー・パラダイス」はコンサートの後、台湾のシングルソング人気ランキング1位を獲得し、80年代の名曲として知られています。

2.年越しコンサートが恒例に

ロックレコードのコンサートの成功を見て、台湾のテレビ局もそれにならい、1988年から年越し特別番組を放送するようになりました。1994年、当時台北市長を務めていた、陳水扁氏は台北市で年越しコンサートを行いました。

2000年以降、台北市に加え、他の地方自治体も年越しコンサートを開催するようになりました。この頃から、各地方自治体はより多くの観客を引き寄せるよう、経費を惜しまずに高額なギャラを出し、人気歌手の争奪戦を繰り広げています。そのため、ひと晩で台湾各地を駆け回る歌手は少なくなく、昔の交通の便の悪さを考えると、非常に驚くべき記録を残したこともよくあります。例えば、台湾の女性トップグループ、S.H.E.は、ヘリコプターを使って各現場へ移動していたそうです。台湾の人気女性シンガー、アーメイは一度、ライブ会場への移動のために救急車を使ったことでニュースになりましたよ。

2004年、台北市のランドマークで、超高層ビルの台北101が開幕しました。それ以降、台湾で最も代表的な年越しイベントは、台北101で行われるコンサートと、カウントダウンの直後に打ち上げられる花火となりました。台北101でのイベントは、海外のメディアによって「世界のカウントダウンイベント、トップ10」と評価されたことがあり、毎年国内外から大勢の観光客を引き寄せています。マスコミの統計によりますと、台北101の年越しイベントを目当てに、台北101周辺エリアは12月、200万人以上が訪れています。ホテルはほぼすべて満室、年越しイベントが台北市にもたらしたビジネスチャンスは、合計台湾元10億元(およそ日本円41億円)を超えていると予測されています。

 

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