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きょうのキーワード(2022-02-11)「番薯」:さつまいも=台湾?

  • 11 February, 2022
きょうのキーワード(金曜日)
(写真:大安區農會、CNA)

最近、寒気団の襲来により、天気がだいぶ寒くなっています。こういうとき、台湾のニュースではしばしば「凍番薯(中国語読み/冷凍さつまいも)」という言葉を使って、台湾の気温の低さを例えています。

もちろん、ここでいうさつまいもは、本物のさつまいもではありません。台湾のことです。これは、世界地図から見た台湾は、まるでさつまいものような形をしていますから、さつまいもが台湾の代名詞となりました。

また、さつまいもは、人を指すこともできますよ。時代を1895年から1945年までの日本統治時代に遡ります。当時、中国大陸に渡った一部の台湾人は、出身地である台湾の形がさつまいもに似ているところから、自分たちのことを「番薯仔(さつまいも)」と自称していました。

1949年、国民政府が中国大陸から台湾に拠点を移してきた後、国民政府とともに台湾にやってきた人たち、いわゆる「外省人」の兵士たちと、戦前から台湾で暮らしている人「本省人」の兵士とは、言葉も習慣も大きく違っていましたので、両者の間に隔たりが生じました。

外省人の兵士からすれば、本省人の兵士は垢抜けなかったので、まるで主食とされていたさつまいものようだから、外省人は本省人のことを「さつまいも」と揶揄しました。それに対して、本省人も反撃の意味を込めて、外省人のことを「芋仔(タロ芋)、」と呼びました。

最初はただ冗談のつもりでつけられた別名でしたが、後に本省人と外省人との対立が煽られる政治環境の影響で、さつまいももタロ芋も、悪意のある呼び方となりましたので、使うときは気をつけなければいけません。

ちなみに、面白いことに、さつまいもとタロ芋自体がそれぞれ台湾における歴史を見ます、案外タロ芋のほうが台湾にやってきた時期が早いのです。台湾の新石器時代、およそ6500年前に遡ることができます。台湾の先住民族、原住民族の主食でもありました。一方、さつまいもが台湾にやってきたのは、およそ400年前だと推測されています。清の時代以降、中国大陸から漢民族が大量に移住してきた後に普及したと考えられています。

「さつまいも」を台湾、「タロ芋」を外来の象徴とすることは、事実とは少々違いますね。

(編集:曽輿婷/王淑卿)

 

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