今日のキーワードは、クリスマスに近づくと、街のあちこちに飾られる「ポインセチア」です。大きくて、鮮やかな赤色の葉っぱで知られ、クリスマスの象徴といえる植物です。
ポインセチアは、中国語では「聖誕紅」と言います。文面上の意味は、「クリスマスの赤」です。とてもわかりやすい名前ですね。そのほか、「一品紅」、または「聖誕花(クリスマスフラワー)」とも呼ばれています。
ポインセチアの原産地は、メキシコと中央アメリカです。およそ17世紀の時からクリスマスに使われていたと言われています。1828年、アメリカの初代駐メキシコ大使、ジョエル・ロバーツ・ポインセット氏(Joel Roberts Poinsett)は、メキシコの街に自生していたポインセチアに魅了され、アメリカに持ち帰り、普及させたのが、ポインセチアがアメリカとヨーロッパへ広まったきっかけです。ポインセチアという名前も、ポインセット氏の名前に由来しています。
台湾は1960年代前に、ポインセチアを海外から導入しました。1970年代から80年代にかけて、ポインセチアが大量に栽培されるようになりました。毎年、およそ150万鉢のポインセチアを出荷しており、年間生産額が台湾元2億元(およそ日本円8億円)を超えています。出荷量も生産額も、花の中ではコチョウランに次ぎ、2番目に高いです。
ところで、台湾で栽培されているポインセチアは、ほとんど海外から導入された品種ですから、気温が高く、湿度が高い台湾の自然環境に馴染めないことが多く、業者たちも高額な権利金を支払う必要があります。
それを受け、台湾中部・台中市にある、農学部で有名な大学、国立中興大学は6年間かけて、2019年に在来種のポインセチア「女神(Goddess-Athena/ゴデス・アテナ)」の育種に成功しました。さらにその翌年の2020年、新種の「愛神(Cupid/キューピット)」を発表しました。
「愛神(キューピット)」は、通常のポインセチアと違って、うっすら紫色のかかった桃色をしています。その葉っぱは変色してから色が落ちにくく、かなり長持ちします。台湾の夏の高温にも耐性があり、一年中育てることができます。その上、在来種であるため、外来種のポインセチアより、生産コストを半分以上節約できます。
在来種のポインセチア「愛神(キューピット)」は、今年から市販が始まっています。いつか本場である欧米市場にも進出することができればいいなあと思います。
(編集:曽輿婷/王淑卿)