今日ご紹介するキーワードは、「三寶」です。文面上の意味は、「3つの宝物」です。「三宝」と言ったら、おそらく仏教における「三宝」、つまり「仏法僧」を思い浮かぶ方もいるでしょう。
仏教だけではなく、台湾の道路にも「三宝」があると言われています。それは、「女性、年長者、女性の年長者」という3種類の運転手のことを指します。3つの宝物、「三宝」とは言うものの、これは決して光栄なことではありません。
台湾のネット上では、このような説があります。ウインカーを出さずに車線を変更するのは、女性の運転手。ウインカーとワイパーを間違えるのは、高齢の運転手。両方とも間違えてしまうのは高齢女性の運転手、ということです。
この説からも見られるように、人々は女性や高齢の運転手に対して、あまり良くないイメージを持っています。そのため、事故を起こしやすい女性や高齢の運転手のことを「三宝」と揶揄する習慣は、インターネット上を始め台湾で広まり、ニュースなどにも使われる言葉となりました。最近では女性や高齢者に限らず、運転が荒い人や、明らかに交通ルールに違反していても自覚のない人のことを指すこともできるようになりました。
ところで、女性と高齢者は事故を起こしやすいという説は、本当なのでしょうか?
交通部が2012年に行ったアンケート調査の結果によりますと、女性の運転手が1年以内に引き起こした交通事故の比率は13.3%、それに対して男性は10.6%です。確かに、女性は男性より事故を起こしやすいように見えます。
しかし、交通事故の重大性から見ますと、最も重大とされる、A-1の交通事故、つまり、事故の発生から24時間以内に被害者が亡くなった事故を引き起こした加害者は、男性の人数が女性の4.5倍になります。
さらに近年、2019年に行われた、交通ルールに違反した運転手の性別割合調査によりますと、違反した事例の重大さを問わず、いずれも男性が女性よりはるかに多いという結果がわかりました。
例えば、シートベルトの未着用で取り締まられた運転手は、91.1%が男性。スピード違反に関して、86.9%が男性、さらに交通ルール違反の中でもかなり危険である、飲酒運転、覚醒剤使用後の運転などで逮捕された運転手も、92.0%が男性でした。
要するに、女性の運転手が事故を引き起こす可能性は男性より高いですが、男性の運転手は女性よりも、危険性の高い交通違反を犯しやすいということです。
これについて、自動車保険の保険料からも分かります。女性の自動車保険の保険料は、男性よりも低い傾向があります。保険会社も、男性の運転手が事故を起こす可能性は女性よりも高いと判断していることが推測できます。
性別と関係なく、交通ルールをしっかり守り、事故を引き起こさないよう気をつけましょう。
(編集:曽輿婷/王淑卿)