今日ご紹介するキーワードは「如何讓你注意台階」。
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この「如何讓你注意台階」とは、「如何にして段差に注意を向けさせるか」という意味です。
台湾は亜熱帯地方に属し日差しが強く、また一年を通して雨が多いことから、多くのビルやマンションの1階部分は「騎樓」と呼ばれる建物を屋根としたアーケードのような通路となっています。
これは、アジアの南方で見られる特殊な建築様式なんですが、ただこの部分は、一般の人が通ることができる歩道ではあるものの、その建物を建て替える際に一緒に建て替えられるため、時間の経過とともに新しい建物と古い建物の高低差ができたりしてしまっています。
中にはあまりに高低差ができてしまって、数段の階段になっているところなんかもあったりします。
台北市では、2002年から、またそのほかの都市でもこの「騎樓のフラット化計画」が行われていて、徐々にフラットで歩きやすい「騎樓」が増えていますが、まだ段差があるところも少なくありません。
この段差に気が付かず、転んでしまわないように、段差があるビルなどでは、床の素材の色を変えてわかりやすくしていたり、その段差の部分に黄色と黒の危険を示す模様の“トラテープ”を貼ったりして注意を呼び掛けていますが、ある場所に貼られた注意を促すものが“効果絶大だ!”として話題となっています。どんなものだと思いますか?
それは…お金!
とある銀行の出入り口、ちょうど「騎樓」に出るところの段差の部分に100元札(日本円で440円に相当)が4枚貼られているんです!
ネットに投稿した人は、「銀行の前を通りかかったとき、ふと100元札が4枚貼ってあるのが目に入って、思わず腰をかがめてよく見てみた」んだそうです。
確かに、お金が落ちている!と思うと思わず目が行っちゃいますよね。それによって段差にも気づくというわけです。
この方法に、ネットでは素晴らしい!と大絶賛。「これはほんとに効果がある、私も通ったら絶対によく見ると思う」とか、「極めて効果的で、超クリエイティブ!」といった賞賛の声が多数上がりました。
中には、「青色だったらきっともっと効果があるよ」と、100元札ではなくもっと高額の1000元札を勧める書き込みなんかもありました。
そして実はこのお札、よく見てみると本物ではなく、本物のお金にそっくりなデザインのメモ用紙なんです。しかも、その貼りつけられたテープの上には「小心(気を付けて)」と手書きで書かれていることから、あるネットユーザーは、「段差では転ばなかったものの、これを見た人のうち何人が“ずっこけた”かな」とユーモアたっぷりに書き込んでいました。
面白い発想ですよね。
銀行が考えたこの「如何讓你注意台階(如何にして段差に注意を向けさせるか)」という対策。これはまさに段差に気づかせるための最も効果的な対策かもしれません(笑)。