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ナルワンアワー(金曜日)2022-08-05-台湾現代史を学びたい方におすすめ、漫画『台湾の少年』

  • 05 August, 2022

7月7日、リスナーの皆様におすすめしたいノンフィクション漫画の日本語訳が出版されました。それは、岩波書店から刊行された『台湾の少年』です。この漫画は、2020年に出版された国立台東大学児童文学研究所の游珮芸副教授と、絵本作家、周見信さんの2人によって描かれた『來自清水的少年』全4巻の日本語訳で、高雄市内の私立大学に勤務する倉本知明さんが翻訳を手掛けました。清水というのは、現在の中部・台中市の沿岸部に位置する街です。

『台湾の少年』は、現在91歳の蔡焜霖(さい・こんりん)さんの人生を通じ、日本統治時代、そして戦後の白色テロ、戒厳令下、そして民主化の時代と、台湾の現代史を学ぶことができる作品です。蔡焜霖さんのお兄さんは、司馬遼太郎さんの「街道をゆく・台湾紀行」で「ラオタイペイ」の愛称で案内役として登場する故・蔡焜燦(さい・こんさん)さんです。蔡焜霖さんは、海外の文化の接触が禁じられていた1960年代に、日本の漫画を参考にした台湾生まれの漫画、小説を掲載した雑誌『王子』を創刊したほか、日本の児童文学を台湾に紹介した功績などから、昨年2021年、日本政府から、旭日双光章を受賞されています。

第1巻の「統治時代生まれ」、2巻の「収容所島の十年」がこの7月7日に刊行、3巻「戒厳令下の編集者」が9月に、4巻「民主化の時代へ」が11月に発売予定です。岩波書店のwebマガジン「たねをまく」でも特集ページが開設され、理解を深めることができます。優しいタッチで描かれた漫画、倉本さんのわかりやすい翻訳を通じ、台湾の現代史を学べ、改めて「民主主義」の大切さを感じることができる作品です。台湾の歴史についてご興味のある方は、ぜひ手にとって頂きたいと思います。

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