
台湾制憲基金会(TNC)は27日、総統府資政(顧問)であり、基金会の董事長でもある辜寬敏氏が午前、台北栄民総医院で亡くなったと発表しました。97歳でした。
総統府の林聿禪・報道官は、蔡英文・総統はこの知らせに深い悲しみを覚え、哀悼の意を表した。総統は、辜氏が生涯を通じて台湾のアイデンティティを守り、台湾の自由と民主、本土化の精神と貢献に尽力した。辜氏の安息を願うとともに、ご家族への哀悼の意を表したいと語ったと伝えました。
行政院の陳建仁・院長も27日、フェイスブックページに「辜氏のご親族に向け哀悼の意を表すとともに、長きに渡り、台湾の主権を守り、台湾の本土化と民主化を推進するために貢献された辜氏に敬意を表します」と書き込みました。
また、陳・院長は、辜氏と父親が同じ台北高等学校の同窓生であり、その関係から、以前から交流があった。辜氏は生前、我々後輩世代に多くのエールを送り、台湾の一員として民主と自由の精神を守り、国や社会に貢献してほしいと願っていたことを語り、「辜氏の安らかな眠りを祈ります。そして彼の精神と気骨は人々の心に生き続けることを祈ります」とコメントしました。
林・報道官は、辜氏は、台湾における郷土啓蒙のパイオニアであり、多くの雑誌や書籍を出版しているだけでなく、「新台湾国策シンクタンク」や「台湾制憲基金会」を設立し、生涯を台湾のために費やしており、とても感銘を受けた。辜氏のこの地への貢献と精神は、台湾の人々の心の中に生き続けるだろうと話しました。
台湾制憲基金会によりますと、辜氏は30歳を超えてから半世紀以上に渡って、台湾の独立と国家正常化に尽力し、台湾がアメリカやオーストラリア、ニュージーランド、南米などの移民社会のように、最終的に一つの独立した、正常で尊厳のある国家になることを願っていたと説明。日本で台湾独立連盟の委員長だった1960年代に「2・28デモ」を推進したり、1990年代に民進党員の彭明敏氏の総統選出馬説得、アメリカの主要メディアへ何度も意見広告を掲載し、台湾人の心を伝えたこと、日本の安倍晋三・元首相に台湾と日本の関係は切り離すことができないものであると伝え、「台湾有事は日本有事」という概念に寄与していったこと、2009年に「台湾を救う行動連盟」を設立し、全国319の町で巡回公演を行ったり、2010年には「新台湾国策シンクタンク」を、2013年には「新台湾和平基金会」、2019年には「台湾制憲基金会」を設立。2020年には「台湾制憲基金会」が初めて国民投票案を発動し、2021年には100団体に呼びかけ、「台湾新憲連合陣線」を結成し、台湾の新憲法運動を促進するなど、様々な行動の波及を促しました。
基金会は、辜氏の心にあったのは、台湾の人々の手により、台湾のために作られた新しい憲法の策定を推進することだった。根底から団結し、「台湾人意識」を統一し、台湾の人々の「国民意識」と「国家意識」を深め、台湾の若い世代が勇気をもってこの歴史的な課題に取り組み、わが国が最終的に「台湾」の名で世界の舞台を堂々と闊歩できるようになることを期待していたと語りました。
基金会は、辜氏の追悼会場は、設置完了後に発表し、一般に公開する予定とのことです。
(編集:中野理絵/許芳瑋)